230万円。これは、一人の社員が辞職することによって発生する企業側の損失だ。高いエージェントフィーを払ったのにも関わらずすぐ辞めてしまったり、即戦力として期待していたのに思った活躍が見られなかったりと、採用活動にミスマッチはつきものである。
そんな採用活動に生じる無駄をカットし、本当に採用したい人材を見極めることができるサービスがある。
グラム株式会社が提供する適性検査クラウド「Jobgram(ジョブグラム)」だ。このサービスは、性格診断を通じて社員の性格傾向と候補者の性格傾向を分析し、企業にマッチした人材を可視化する。
代表取締役の小出悠人さんは、以前採用活動時に性格診断を用いることで無駄な面接や人材採用のミスをなくすことに成功したことをきっかけに、このサービスを立ち上げた。誰もが自分に合った職場で才能を発揮し、その人の過去ではなく未来の可能性を信じて採用できる世界の実現を目指すそうだ。
「Jobgram」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
グラム株式会社 代表取締役
小出 悠人
ーー「Jobgram」とは一言でいうとどんなサービスでしょうか?
企業が採用活動を行う際に、採用すべき人材を可視化する適性検査クラウドです。
ーーどのように利用するのでしょう?
まず、採用企業側の社員に性格診断を受けていただき、ポジションごとに高いパフォーマンスが期待できる性格傾向を算出します。その後、採用候補者の方にも同じ診断を受けていただくことで、社内で活躍している人材と性格傾向が似ている方を優先的に選考に進めたり、一致していない部分を面接で深掘りしたりする精度の高い採用活動を進めていただきます。
ーーどんな企業が利用していますか?
中途採用の現場で主にご利用いただいています。
新卒採用では適性検査を用いて採用効率を上げることが一般的ですが、中途採用でそれはあまり浸透していません。中途採用で入社した方は即戦力を期待されて入社するにも関わらず、企業とのミスマッチが起こることが多いのが現状です。そうなると企業側のデメリットも大きいため、中途採用においても適性検査を導入して採用リスクを下げることが必要です。
企業数としては、IT 系ベンチャー企業を中心に約100社に導入いただいております。(2021年1月現在)
ーーこのサービスを利用するメリットを教えてください。
採用企業が抱える面接のうち、無駄な30%がカットできることです。これにより、人事部の社員や面接官を担うエース級の社員の仕事を効率化させることができます。
また、候補者側にとっても、受からない面接を受けるのは時間の無駄ですよね。
企業と候補者、両者にとってWin-Winな採用活動の効率化を実現できます。
ーーどのようにして候補者が自社に必要な人材かどうかを判断するのでしょう?
Jobgramは候補者が今後活躍するかどうかを実績ベースで約80%程度的中させることができます。通常、採用面接の精度は30%程度と言われており、人材が実際に募集ポジションで活躍するかどうか見抜くことは難しいです。人の目で1回面接するよりも、Jobgramを通した方が3倍以上精度が上がります。
採用のミスマッチによって一人辞めてしまうごとに企業側には約230万円の損失が発生します。退職した社員のそれまでの給与も含めると約700万円です。 事前に防げる採用のミスマッチは3分の1と言われており、対策をするかどうかで50人の会社でも1000万から1500万円の資金が動くことになります。これがJobgramの90万円を投資するだけで防ぐことができるようになるのです。
ーー競合サービスとの差別化ポイントは何ですか?
Jobgramは新卒向けのペーパーで受ける性格診断とは異なり、スマートフォンやPCで受けられます。所要時間も5分から10分と短く、気軽に回答することができるでしょう。性格傾向を探る約100問から採用候補者の性格傾向を分析します。
ラフに受けられることから、選考の早い段階で全員に受験させることも可能です。中途採用では、本格的にエントリーする前にまず話を聞いてみたいという人が面接を受けることが多く、その方々にとって約1時間かかる新卒採用向けの性格診断は目的に見合っていないと言えます。Jobgramは回答者に負担を求めないだけでなく、回答者も診断結果を確認することができるので、自己分析の材料としても活用することができます。
もう一つの特徴的な機能として、採用すべき人材の理想像を定量的に設定できる採用モデル作成機能があります。職種ごとに活躍している社員の性格を項目ごとに数値化し、その条件にあった人材を採用することが可能になります。
例えば、企業が高い営業成績を出せる可能性の高いポジティブな人材を採用しようとするとき、”ポジティブ”の条件を言語化できなかったり、人材がその要件にあっているかを印象によって決めてしまったりすることがあると思います。正確な採用モデルを作成することによって、採用活動に伴う経験や主観による判断を防ぐことができるのです。
ーーこのサービスを始めた経緯を教えてください。
もともと、ビジネスマン向けのメディアを運営していました。その業務を続ける中で、自社で採用のミスマッチが頻発し、引き継ぎやオンボーディングなどに高いコストがかかるなど、多くの損失を経験したんです。また、誰かが早期退職することによって社内の雰囲気が悪くなることも実感しました。
そこで、この状況を改善しようと社内で性格診断を取り入れたところ、ミスマッチが減り、採用活動が改善されました。これがJobgramの開発に至ったきっかけです。
今まで中途採用の現場に性格診断を使ってこなかったり、採用のミスマッチを失敗と捉えていなかったりする企業様にセールスすることは難しいですが、導入することによるメリットを実感していただけるように尽力しています。
ーーこのサービスの今後は?
全企業、全ビジネスパーソンの性格傾向のデータを集めるべくサービスの展開を進めていきます。
数値的目標は、 1万社の導入です。同時にデータ数としては現在の4万人から500万人に伸ばしていきたいです。診断していただいた方々の活躍のデータも蓄積し、適性検査の精度をさらに高めていきます。
また、求職者に対するアプローチも視野に入れています。性格診断を受けていただき、その人に向いている仕事をこちらから提案したり、性格傾向がマッチしている企業をオススメすることが可能になります。企業としても、自社が求める人材の要件にマッチしている人材が早い段階で集まるのは嬉しいことではないでしょうか。
ーー目指す世界観を教えてください。
「可能性から信頼を紡ぐ社会」を目指しています。
現代社会では人の過去の実績が信頼され、評価されています。私たちは、人の可能性を可視化してそれを信じて採用していくことで、すべての人が確実に活躍できる職場で働ける社会を実現します。まだ活躍していなくても、その人のポテンシャルのみで信頼を構築できるようになったら面白いですよね。
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