「投稿のいいね数はどうなっているだろう」「コメントに返信しなくては」などなど…。SNSが普及した現代特有の悩みではないだろうか。そんな「SNS疲れ」に悩む人たちにのためのサービスが登場した。
株式会社GALLUSYSが提供する写真共有SNS「pictier(ピクティア)」だ。このSNSは、言語コミュニケーションを用いない、大きな時間の流れを重視した繋がりの場として利用されている。ユーザー同士が撮影の依頼をかけられる「置き銭」機能も実装予定だ。
代表取締役の大塚敏之さんは、マルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』を読んだことをきっかけに「思考によって創られた世界」の広大さに気づき、このサービスを立ち上げた。今後は文化や価値観を変えられるようなサービスの提供を目指していくそうだ。
「ピクティア」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社GALLUSYS 代表取締役
大塚敏之
ーー「pictier」を一言でいうと?
言語を用いず、写真の共有によって繋がっていくSNSになります。
ーーサービスの利用方法を教えてください。
アプリをダウンロードした後、写真を撮り、コメントなしで投稿するだけです。
他の写真アプリと違うのは、写真の撮影場所がマップ上に記録されるところです。ユーザーがその場所に行くと、記録された写真が透過され、重ねて写真を撮ることができます。このアプリに参加しているたくさんの人が同じ場所に訪れ、写真を重ねていくことで、これまで1人では作ることが難しかった長い時間でのタイムラプスを作成し、時間の移ろいを記録することができます。
ーーどのような方がサービスを利用していますか?
「SNS疲れ」に悩む方をターゲットにしています。開発時は30代から50代くらいの男性で、写真をよく撮る方をユーザーとして想定しました。SNSのコミュニティーでやり取りすることよりも、単純に写真を投稿したい人たちが、言語でのコミュニケーションを排除してうまくコミュニケーションを取れる環境を作りたかったんです。
ーー言語でのコミュニケーションを排除する理由を教えてください。
1つ目の理由は、「思考は言語よりも広大なものだ」と考えたことです。言語を我々はとても万能なものとして捉えがちですが、言葉にできない感情みたいなものは沢山あると考えています。たとえば、全く同じ場所から全く同じものを見ても、人それぞれ思うことや、そこからめぐらす考えは全く違うものではないでしょうか。言語を排除して写真や景色だけを楽しみ、人それぞれ全く違う捉え方をする場があってもいいのではないかと思ったんです。
2つ目は、「写真そのものを見てもらいたい」と考えたことです。現在のSNSではコメントやリプライによって、写真が説明されたり定義付けられたりします。また、誰がその写真を撮ったかによって、写真そのものにバイアスがかかってしまうことも多いです。フォロー/フォロワーという仕組みがないピクティアの中では、投稿された写真をいいねやお気に入り登録することはできますが、コメントはできず、誰が撮ったかも判別できません。「誰が」よりも「どの」にフォーカスしているサービスだと言えると思います。
ーーサービスを利用するメリットを教えてください。
「置き銭」機能が皆さんがサービスを利用するメリットになると考えています。
たとえば「母校が今どうなっているのか」など、懐かしの場所がどのように変わっているかを知るために現在の写真を探すのは難しかったりしますよね。ピクティアの置き銭という機能では、「ここで写真を撮ってください」「ここで自分が撮った写真に重ねて写真を撮ってください」といった依頼をかけることができるんです。依頼者はアプリ上にアイテムを設置して、依頼を叶えてくれた人はそれを取得できます。そのアイテムは後に現金化することが可能です。
思い出の場所に置き銭の依頼をかけることで、実際に訪れなくてもその場所の変化を記録していくことができます。また、行ったことのない場所に置き銭を設置すれば、そこでどんな写真が撮れるのかを知ることができるでしょう。
ーー競合サービスはありますか?
現状はありません。アプリを開いて写真を撮ったり、見たりすることで時間を消費するという点では、SNSアプリは競合サービスかもしれません。それでも先ほど述べたように、サービスのターゲットは少し違うので、競合サービスとは捉えていないです。
ーー類似サービスとの差別化点を教えてください。
フォローしていたら「いいね」しなければいけない、コメントが来ていたら返さなければいけない、いいね数に囚われてしまいフォロワー数の増減に精神を削られてしまうなどのSNS疲れを感じずにご利用いただける点ですね。
ーー起業の経緯を教えてください。
最初はブロックチェーン畑の人たちでトークンエコノミーを作ろうと集まり、サービスの構想を練っていました。しかし、話し合いを進めていく中で法的に実現が難しいことがわかったこともあり、まずコンシューマー向けになにかサービスを作ろうと模索を始めたんです。
ーーなぜ「ピクティア」を立ち上げたのですか?
マルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』を読んだことが大きく関係しています。この本は、私たちが定義づけている物理的な世界よりも思考で創られた世界の方が大きいと説いています。物理的に存在するかどうかは関係なく、ユニコーンや幽霊などを存在するものと考えれば、思考は人々が定義付けている物理的な世界よりも広大なものだというのです。これを読んだときから、「言語化することなく現実の世界にとらわれない思考を自由に展開できる時間を上手くアプリで作ることはできないか」と考えるようになり、「ピクティア」の開発に至りました。
ーーこのサービスの今後は?
置き銭機能は現在、運営側がアイテムを置いて撮ってもらう段階まで進んでいます。年内にはユーザーがアイテムを買って依頼をかけられるものにして、換金できる仕組みを作りたいです。
運営側のテストアプリでは「レベル制度」を導入しています。サービスの使用頻度によってユーザーをランク付けし、換金率を変える仕組みを取り入れることで、使えば使うほど使いたくなるアプリにしていきたいです。
将来的にはピクティアにブロックチェーンを絡めていくことも考えています。撮った写真をノンファンジブルトークン(NFT)にし、写真の所有権をマーケットで売れるようにしていきたいです。写真を撮った人や所有している人に価値が還元される仕組みをデジタル上に作ります!
ーー目指す世界観を教えてください。
GALLUSYSとしては、技術的な特異点を突破して新しいものを作っていくより、文化や価値観を変えるものを作っていきたいです。Twitterのように、もともとはなぜ必要なのか分からないと思われていたものも、今では文化の一部となり、世界中の人と繋がれるようになりました。このように文化を変える、気づいたら当たり前になっているようなサービスを発信していきたいですね。
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