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インタビュー 2019.08.26

コミュニケーションAIを5分で開発。そしてロボットが社会性を持つことを目指す。パルスボッツ株式会社「IFRO(イフロ)」

ロボットが身近にいる世界を想像したことがある人は多いのではないだろうか。

そんな世界を実現するための第一歩を踏み出した企業がある。

パルスボッツ株式会社だ。ロボットが社会性を持つことを目標に活動している。

現在は、コミュニケーションAIを5分で作れるサービスIFRO(イフロ)を開発して、顧客対応やマーケティングなどの業務を自動化しているそうだ。

どんな企業なのか、詳しく見ていこう。

パルスボッツ株式会社 代表取締役CEO
美馬 直輝

慶應義塾大学環境情報学部卒。株式会社ライトニングにてWebプロデューサー、取締役を経たのち、2010年、ハイジ・インターフェイス株式会社を設立。Web・アプリ・携帯UIなどの制作に従事し、エヴァスマホ、ミクスマホ、文化庁メディア芸術祭、ナノ・ユニバースなどの多岐に渡るプロジェクトを牽引。2014年、人間中心設計専門家認定を取得。2015年、ロボット事業にシフトするため代表を退き、パルスボッツ株式会社を起業、代表取締役CEOに就任。ロボット参加型SNS「Palsbots」、眠りのおともロボット「ネモフ」、会話型ユーザーインターフェイス「IFRO」などの開発を手がける。

目次

  • コミュニケーションAIを5分で開発!IFRO(イフロ)
  • IFRO開発には次世代のインターフェース「ロボット」への想いがあった。
  • ロボットがいて楽しい世界の実現を目指す

コミュニケーションAIを5分で開発!IFRO(イフロ)

――IFROについて教えてください。

IFROを一言でいうと、「コミュニケーションAIを5分で作れる」サービスです。

知識不要で対話スキルを簡単に作成でき、ロボットやスマートスピーカー、チャットボットをすぐに喋らせることができます。

具体的には、管理画面から作成したい会話内容のテンプレートを選んでいただき、再生ボタンを押せば、コミュニケーションAIが完成します。作成した会話内容はスマートスピーカー・ロボット・メッセージングサービスにつなぐことができます。

会話のテンプレートは、コミュニケーションAIの導入にメリットを感じてもらえそうな業種・業態向けになっています。それらのテンプレートを選び、会社名などを書き換えるだけで、そのまま使えるチャットボットになるんです。内容の縛りはありません。カスタマイズも可能になっています。

専門的な技術が不要で、コミュニケーション部分をAIで一元化できるサービスです。

――ターゲットについて教えてください。

具体的なターゲットは、ECサイトや宿泊業などの予約を管理する必要がある業種などですね。

お問合せへの対応などの業務に幅広く応用することができます。サポートの部分でチャットボットが利用できるような企業様であれば、どこでも使えるサービスです。

――強みについて教えてください。

チャットボットのサービスを始めようとする競合他社は多いですが、私たちはもともとロボットを開発したいと始まった会社です。ロボットのコミュニケーションが広がる世界を考えたときに、チャットボットから始めていく必要があるということに気づいて、そこからブレイクダウンしていく形になりました。他社とはマインドに違いがあります。

また、テンプレートがきちんと人力で作ったものをたくさん用意していることも強みです。

加えてUIがとっつきやすく、非常に使いやすいものになっています。楽しみながらコミュニケーションAIを作っていくことができます。

IFRO開発には次世代のインターフェース「ロボット」への想いがあった。

――ロボットに興味を持ったきっかけはなんですか?

インターフェースの開発に興味があったことですね。しかし本当に興味のあるのは人間で。人と仲良くなりたいという想いが発展して、インターフェースを作りたいと思うようになりました。そのため、元々インターフェースという切り口で仕事をしていたんです。

そこで、ペッパーが出てきたとき、これは新しいインターフェースだと思いました。ペッパーが与える情報量は、スマホの画面が与える情報量とは比べ物になりません。体験そのものがインターフェースになっていますからね。このロボットが作る「体験」を通して、より人のことを考えたいと思いました。

そこで、ロボットというインターフェースが面白いと思ったんです。これはスマホの次に来るものだなと。これからロボットの時代が来る。だから真剣に取り組む必要があるなと考えたんです。

――まさにロボットは次世代のインターフェースなんですね!

他にも『エヴァンゲリオン』が好きだったこともロボットに興味がある理由の一つかもしれません(笑)。

エヴァンゲリオンのスマホを作っていたこともあります。携帯って2年縛りなどがあって。その人を楽しませて、がっかりさせずに2年間使ってもらえるようなものを作らなければいけなかったんです。

このサービスを使うユーザーの人のことを一番に考えないといけなかった。インターフェースづくりは、人と向き合う仕事だと思っています。

――そこからIFRO開発までにどんな経緯があったのですか?

ロボットが面白いと思った着眼点の1つに、ロボットの社会性に興味がありました。ロボットの社会性を持たせるには、今の技術でどうやって実現できるかについて考えていたんです。

そこでロボット参加型SNSを最初に立ち上げました。SNS上で仮想的にロボットに社会性を持たせてみようという試みです。具体的には、家でペッパーと話していることが、SNS上でその友達のペッパーのオーナーとの会話に影響するといった取り組みをしていました。

しかし新しすぎたこと、費用対効果が良くなかったこと、ペッパーが普及していないことなどが原因でそのサービスは現在一時休止しています。

そのサービス自体は、ソフトバンクのアプリのコンテストでファイナリストに残りました。そして、SNSのサービスをソフトバンク認可の元で出したんです。その後ペッパーそのものの開発に携わることもできました。ペッパーのプレインストールのアプリの開発などを担当していましたね。

それから投資家の方に自分たちの事業について話をさせてもらう機会がありました。すると、自分たちのやってきたことのイメージがなかなか伝わらなかったんです。それはペッパーに元々備わってる機能でしょ、という感じで。

自分たちのサービスの良さを知ってもらうためにも、自らのロボットが欲しい。そこで、nemoph(ネモフ)というBtoC向けロボットを作りました。最終的に、実際の自社のロボットとコミュニケーションづくりのノウハウを生かしてサービスを開発。それがIFROです。

パルスボッツ株式会社が開発したロボットnemoph(ネモフ)

ロボットがいて楽しい世界の実現を目指す

――IFROの今後の展望を教えてください。

様々なデバイスとつなぐことを可能にしたり、面倒なところはスキップできるようにしたりすることで、色々な人に使っていただけるサービスにしていきたいです。

それから、ロボットの事業に取り組みたい。ロボットがコミュニケーションを取れて、デバイスの間をつなげるようにしていきたいです。

最終的にはロボットが社会性を持つようになることを目指していきます。

IFROが浸透していって、そういったロボットを含めたコミュニケーションのできるデバイスが浸透していく中で、メーカーを超えて相互につながり、ロボットが社会性を持つことを実現していく。そこにはIFROが関わっている、そんな社会を目指していきます。

――目指している世界を教えてください。

私が目指しているのは、ロボットがいて楽しい世界です。そんな世界を実現するためには、ロボットがもつ社会性が必要になります。

その社会性の作り方次第で、ロボットが人間にとって良いものになるのか、はたまた悪いものになってしまうのかが決まります。

私たちは、ロボットが人間にとって良いものになれるように関与していきたいと思います。

ロボットの社会性を追い求めて。パルスボッツ株式会社の進化は続く。

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編集後記

取材担当橋本

外交官の元自宅を借りているというパルスボッツ株式会社。まさに秘密基地でロボットを開発しているという感じでした!

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投稿者プロフィール

橋本 雅弘
橋本 雅弘
大学では社会福祉学を専攻。現在はStartupTimesのほか、日本最大級のAIメディア「AINOW」でも執筆。学生スタートアップ特化型アクセラレータープログラム「GAKUcelerator」でメンターを勤める。

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