多くの企業がコスト削減に悩んでいる。しかし、諸経費の削減に着手している企業は少ない。
そんな状況の中で、株式会社Leaner Technologiesは、経費削減のSaaS型サービスLeaner(リーナー)を提供して、企業のコスト削減をサポートしている。加えて、日本に間接費削減サービスのマーケットを作るためにも奮闘しているとのこと。
この株式会社Leaner Technologies、約5か月前に取材している。それからの進化を踏まえて、サービスについて詳しく見ていこう。
CEO
大平 裕介
1993年生まれ。
慶應義塾大学在学中、水泳三昧の3年間→飛行機を運転するためArizona State Univ. Aviationに編入→慶応に戻り2社スタートアップに創業メンバーとして参画 。
慶應義塾大学卒業後、2016年にA.T. Kearney 株式会社に新卒入社。
2019年に株式会社Leaner Technologiesを創業し、代表取締役CEOに就任。
――株式会社Leaner Technologiesサービス「Leaner(リーナー)」のサービスについて教えてください
Leaner(リーナー)を一言で説明すると、経費を削減できるSaaSです。間接費の無駄を徹底的に見える化し、コスト削減を支援しています。
具体的な機能としては、自社の経年推移とビッグデータ解析に基づいた他社比較をしながら、使いすぎている間接費目を特定。独自のKPI管理により「コスト削減の余地」や「適切なコスト削減手法」を提示します。
例えば「コピー費の契約単価が高いので、適正水準であるこの金額まで改善しましょう」というアドバイスや、費目別にコスト削減の優先度をランク付けすることで、最優先で着手した方が良い費目、見直す順序も明確化が可能です。
また、コストが削減しても月日が経つとリバウンドするので、その積み上げもしていき、継続的にコスト削減を計ります。今まで、やりたくてもできなかった累計のコスト削減額を見える化するという仕組みです。
――前回の記事から5か月が経ちました。その間にどんな変化がありましたか?
Leanerを提供して一番わかったことは、海外と比べると日本のマーケットに間接費を最適化できるサービスが相対的に少なかったことです。
経費を抑えるための解決策の存在が知られていないため、多くの企業がコスト削減のために苦しんでいます。経費の削減をあきらめている企業様も多くなっていますね。
――日本は間接費のサービスで後れを取っているんですね。
実は日本を含めたアジア圏以外の間接費削減サービスの市場は、とても大きなものなんです。すさまじい勢いで成長している。
1つの企業だけで、1兆円に到達する企業もあるぐらいです。海外の市場は熱くなっています。
しかし、日本には間接費削減のためのツールが少ない。間接費サービスについて気づいている人もいますが、日本は取り残されている状況です。
――日本の現状をさらに詳しく教えてください。
現状としては、A.T. カーニー株式会社のようなコンサルティング会社にいる人には、間接費を最適化するサービスは知られています。しかし、多くの人は気づいていません。
これは、日本は海外よりもソーシングというマーケットが根付いていないことが原因のように思います。
そのため、これからの課題は、間接費削減サービスのマーケットを海外の水準まで起こせるかどうか。企業としても、間接費を削減するための課題は明確です。
その解決をするLeanerも、現在ROIは以前の約5倍の成果(2019年9月現在)を出せており、もはやサービスを活用しない理由はありません。
今後どうやって、事業を拡大し、市場を活発化させていくかが最大の課題になっていますね。
――現在のサービスの導入企業についてい教えてください。
現在、Leanerの有料ユーザーは2桁社数に到達しています。
導入している企業様の特徴は、CFOの方の感度が高いことですね。この20年ほどで急成長しており、投資も進めているような企業様も多くなっています。
また、人にこだわりがある企業様にも多く使われています。Leanerは人件費を削りたくないニーズを満たすことができるからです。他にも、原材料が少なくて済む企業様や製造業の企業様にも活用いただいていますね。
外部サービスを活用すれば間接費を削減できることを知っているがコンサルは高くて手を出せない企業様や、これまでもコスト削減に取り組んできていたがさらに経費削減に取り組みたい企業様にも活用いただけるサービスです。
――導入に向いていない企業はありますか?
新しいサービスを入れるのに抵抗があるような企業様には、Leanerを導入しても価値が出しづらいかもしれません。
そのため、イノベーター的な企業で、CFOが最新の知見を持っており、今まで経費削減をやってこなかったところに最適なサービスになっています。
――導入している企業からの声を教えていただけますか?
現在、新進気鋭の業績が伸びてきている企業のCFOにサービスを紹介した時に、「これが欲しかった」と言っていただけました。
現在、マーケットの中で課題が潜在的なので顕在化する必要があります。そんな中でも、マーケットをわかっていただける人はいらっしゃる。これはとてもうれしいことです。
他にも、「会計ソフトだけでは、支出分析はできない。海外に支出を分析できるサービスはあるけど、日本にはないと思っていた。こんなサービスを待っていた!」というお声を頂いたこともあります。
このように、間接費削減に関して敏感なユーザー様が増えていけば、日本が強くなることにもつながります。また、自分の理想としている世界のユーザー様を見ているような気がして、とてもうれしくなりましたね。
――コンサルティングとは競合するのではないですか。
契約の見直しに関しては、コンサルに発注したくないニーズがあります。
そもそも、コンサルタントのような第三者でなければできないことは、業界水準を知っていることです。交渉スキルを強みとしていることがありますが、間接費に関しては、社内の方が適切に交渉できることがあります。
つまり、ベンチマークさえわかれば、交渉は社内で対応できるんです。コンサルほどのフルパッケージのサービスはすべての企業で必要なわけではありません。
このような現状に対応するため、Leanerは機能を必要最低限に抑えています。これも強みの1つですね。
もちろん、弊社スタッフが社内での交渉に対応することもできます。その場合は、アップセルでの対応を行います。お客様のニーズによって、選べるようになっているんです。
――海外の競合サービスについて教えてください、
支出分析の観点から考えると、JAGGAER(ジャガー)というサービスが競合になります。現在は、まだ日本には入ってきていないサービスです。
また、Coupa(クーパ)というサービスも競合として考えています。この企業のSaaSの成長率はSlackと並ぶ飛躍的なものです。支出分析のアルゴリズムやUIも美しい。
契約を管理するという面から考えた競合は、Scout RFPですね。アメリカのスタートアップ企業で、海外VCから注目を集めています。
――Leanerの強みについて教えてください。
現在SAP Aribaというサービスが支出分析において、最も大きなシェアを占めています。このサービスはビッグエンタープライズ向けのサービスです。
Leanerとはターゲティングが違います。必要最低限の機能を切り出し、コストを減らして、多くの企業が欲しいものを作り出しています。
また海外には、日本でいう見積業務をプラットフォームで完結させるサービスがあります。しかし、日本への参入障壁がとても高い。日本は、海外ほど合い見積もりをしている人のプライオリティが高くなっていないんです。
というのも、海外はCFOの権力が強いんですよね。日本の総務は海外に比べて力を持っていません。このように、日本にサービスを最適化するためには、文化的な違いがあるんです。
海外のサービスは言語対応も大変です。分析のためのAIは、言語に依存しています。海外の既存のサービスをそのまま横展開できません。
これらの点においても、海外のサービスが日本にくることは難しくなっていますね。
――今後の課題について教えてください。
今後の最大の課題はマーケットを管理することや、潜在的なニーズをどのように盛り上げていくかを考えることです。
この実現のために、プロダクトマーケットフィットを目指しています。まずは、属人的ではなくバリューを出せるサービスとして、プロダクトを打ち出していきます。
また、現在プロダクトだけでなく、コンサルティングも合わせて提案しています。初期はたりないところがわからない状態なので、これで良いと思います。しかし、拡販のフェーズに入った時に、受け入れ態勢に問題が出てきてしまう。
そのため、今後はコンサルティングの部分を形式化し、コンサルティングしなくても価値を出せる仕組みを作ることにフォーカスしていきます。
――プロダクトの展望について教えてください。
この半年でバージョン1の最終調整に入ります。その後は拡販へ向かっていきます。しかし、拡販していく優先度はそこまで高くありません。
それよりも、プロダクトの進化を進めていきたい。ユーザーの企業様から、フィードバックを頂けるので、そのニーズを満たせるようなプロダクトを創っています。
そのため、ターゲットのユーザー様にはどんどん入ってきてほしいですね。
現在価格が圧倒的に安く、ニーズや要望に応えられるのが強みです。しかも今なら、個社別に企業が抱えているファイナンスの問題を解決できるようになっています。お客様に返せるものが非常に多くなっています。
――どんな企業に来てほしいと考えてらっしゃいますか?
Leanerをつかっていただきたい会社は、経費削減を現場に任せている企業ですね。そんな企業のCFOの方がいれば、どんどん声をかけてほしいと思っています。
多くの企業が抱える間接費問題。この解決にむけ、株式会社Leaner Technologiesはさらなるマーケットを創出していく。
取材担当橋本
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