大学の進学率が上がり、学歴そのもののコモディティ化が進んでいる。
このような現状である以上、個人にとっては「良い大学に行く」ことの重要性はなくなりつつある。それよりも、「大学で何を学ぶか」が重要になってくるだろう。
株式会社ExPAは、そんな大学生の学びを支援し、利用する学生全員が学業の質を高められるサービスを提供している。
そのサービスの名は、「AriKiri Note(アリキリノート)」。大学生向けの知識共有プラットフォームである。
AriKiri Noteとはどんなサービスなのだろうか。株式会社ExPAの立ち上げの経緯や今後の展望も含め、詳しく見ていこう。
株式会社ExPA
CEO
山口 貴士
新卒で外資系コンサルティングファームに入社、事業再生部門において、中期経営計画策定支援、財務モデリング、事業戦略策定及び実行支援、事業及び財務デューデリジェンス、資金繰りモデル作成支援等のプロジェクトを経験した後、株式会社ExPA創業。
――AriKiri Noteのサービスについて教えてください。
簡単に申し上げると、大学生向けの「知識共有プラットフォーム」です。
文部科学省によると、2018年には大学・短大進学率が57.9%と過半数を超え、段々と「学歴」そのものはコモディティ化してきていると思います。欧米では従来の大学のあり方を見直す動きも起きてきており、人的資本を蓄積する高等教育機関としての大学のあり方を見直す時期に来ていると思います。
学歴がコモディティ化する以上、個人にとっては「良い大学に行った」ではなく、「大学で何を学んだか」がより重要になるはずです。
また、社会にとっても、ただ大学に行って卒業するのではなく、大学で意思を持って何かを学ぶ学生が増える事で、社会全体が進歩する事につながると考えています。
この観点から見ると、大学に進学する以上、「何をいかに学習するか」がとても重要な論点であると考えています。
「学習」には様々な形があります。
いわゆるインプットや思考に重きを置いた学業のような学習もあれば、ボランティアやインターンや旅、起業といったより社会と接点を持った形で行動する事を通じた学習もあります。いずれも学生時代に経験すると人生を豊かにする重要なものだと考えています。
学習の仕方も人それぞれです。
学業に注力したい学生もいれば、広く世界を見たい学生もいるし、ビジネスに触れたい学生もいるし、学生の数だけ学習の仕方があると思います。
「個々人の学習を、助け合う事でレバレッジできないか」というアイデアから、AriKiri Noteは生まれました。
学習というと、個人戦のような印象を持つかもしれませんが、せっかく大学というコミュニティにいる以上、その集団の知恵を活用して学んだほうがより効率よく学べるのではないか。それも、できれば優秀な学生の学びを効率よく共有する仕組みができれば、学業全体の質を高められないか、というアイデアです。
私自身も学生時代に優秀な友人に相当学業面では助けてもらいましたし、共同創業メンバーがオーストラリアの大学院に在学していた時にも、同様の経験をしていた事から着想を得ています。
実際に東大生のノートは1,200円という価格で販売されているという。
AriKiri Noteという名前は、アリとキリギリスの寓話に由来します。
それぞれ人はみな、先を見据えてコツコツ真面目に努力する側面もあれば、刹那的に行動したり、楽しんだりする側面の両方を持ち合わせています。
ある学生はコツコツ努力する対象が学業の事もあれば、またある学生はボランティアやインターンシップだったりする事もあると思います。
また、更に細かく考えると、テーマごと、例えば経営学は積極的に学ぶけれど、歴史はできるだけ効率よく学びたいといったニーズもあると思っています。
学業を価値化して知識の流動性を高めることで、このギャップを埋める事がAriKiri Noteのコンセプトです。
使い方はとてもシンプルで、プラットフォーム上に学生自身が作成した成果物を提供し、学びたい学生がそれを購入する仕組みです。
お金が発生する仕組みにしたのは、それによって学習そのものに価値を付け、学業における努力が報われるようにしたいという狙いがあります。
学業に注力したい学生はそれを価値化し、学業以外の経験を重視する学生や、より学習効率を高めたい学生がそれを購入する事で、相互に助け合って質の高い学生生活を送って頂くために活用してほしいと思っています。
起業の経緯について聞いた。
私の起業に至る経緯としては、大学時代にそのルーツがあります。
実は、私は留年を3回経験しています。色々原因があるのですが、一番大きかったものは居酒屋のアルバイトに打ち込みすぎてしまったというものです。
というのも、私のバイト先企業のオーナー社長が本当に格好いい人だったんです。居酒屋のオーナーで思い浮かぶイメージは人それぞれだと思いますが、その方は事業を通じて実現したい理想があり、そのために文字通りすべてを掛けて取り組んでいる方でした。
外銀とか、外コンとか、外資ITみたいないわゆるエリートではないけれど、人や商売の本質をよく理解していて、とにかく勉強させて頂きました。彼の経営哲学を学ぶために没頭して一緒に働いていたところ、ふと気付いたら単位が足りなくなっていました笑
経営者を志したのは、彼に憧れて、自分もこういう経営者になりたいと思ったのがきっかけです。
その後、経営やビジネスを学ぶために新卒で外資系のコンサルティングファームに入社し、事業再生領域でのコンサルティングに従事しました。
そこでは、倒産寸前のクライアントを担当する事も多く、非常にハードな現場でしたが、経営者や投資家と仕事をする中で、学生時代の格好いい経営者になりたいという夢を追いかけたい気持ちが高まり、創業に至りました。
――会社の展望について教えてください。
僕らは学生がいきいきと大学生活を過ごせる、学生に沿ったサービス展開を続々としていくつもりです。というのも、意思の力を解き放つことのできる新しい教育インフラを作りたいという想いがあるからなんです。
今の大学生に自分が何をやりたいのかを知ってもらい、そのチャレンジのサポートをできる教育インフラを作っていきたい。
その第一弾がこのAriKiri Noteです。チャレンジする学生を応援します。その役に立つことはなんでもやっていきたいですね。
――ほかに展望として考えていることはありますか?
大学生やりたいことがあっても金銭面で断念せざるをえないことも多いですよね。この部分にも何か解決法を作ってあげたい。
わかりやすく言うと、学生向けのファイナンスサービスです。留学したいけどお金がない、起業したいけどお金がない。そんな夢を持つ学生を応援できるサービスを作っていきたいです。
学生がAriKiriプラットフォーム上でやりたいことを全てできるようなサービスにしていきます。日本の周辺国などにも展開していきたいですね。
夢ある学生の伴走者になる。社会意義性の高い事業展開をする株式会社ExPAを応援していきたい。
取材担当中山
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