社労士という職業をご存知だろうか。
社労士は、企業内の”ヒト”に関わる採用から退職までの「労働・社会保険に関する各種手続」や「労働諸法令の相談」に応じるなど、人事・労務面の業務を担当する。
いわば、社労士は”ヒト”に関するプロフェッショナルと言えるだろう。
そんな社労士だが、顧問契約というサービス提供方法や社労士から受けられるサービス・業務範囲があいまいで分かりづらいなどの課題がある。
そんな煩雑な課題を、チャットをプラットフォームとしつつ、独自のアルゴリズムで解決している企業がある。
TRIPORT(トライポート)株式会社だ。クラウド社労士コモンというサービスを開発・運営し、社労士が必要な手続きもチャットで丸投げできる。
どんなサービスなのだろうか。詳しく見ていこう。
代表取締役社長 CEO
岡本 秀興
2006年 中央大学経済学部卒業後、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)に入社。社会保険労務士のスキルを活用しつつ、システムエンジニアとして主にHumanResource系の基幹業務アプリケーション開発に従事。マーケティングからシステム開発まで幅広く関わる。
ITをはじめ、世の中の便利なツール・サービス・仕組み等を、本当に必要としている人に“簡単・気軽”に利用してもらえる環境を構築すべく、TRIPORT株式会社を創業。代表取締役社長 CEO 就任。
――まずは、社労士の現状について教えてください。
弁護士や税理士と同様に、社労士にも顧問契約というサービス提供方法があります。
弁護士・税理士については比較的まだ顧問契約の必要性がユーザーにとって分かりやすいかと思いますが、社労士については必要性が分かりづらいためか、契約率は他の士業よりも低い傾向にあります。また、そもそも顧問契約という、ひとりの士業が対面でのやり取りを前提とし専属になるというサービス提供方法自体、心理的にも経済的にもユーザーとしては手が付けづらい1つの大きなハードルになっています。
そのため、比較的従業員規模の大きな企業は社労士と顧問契約をしているところもありますが、地方企業や中小零細企業の中には、顧問契約をしていないことも大いにあるんです。
しかし本来、中小零細企業こそ企業が継続的に成長していくためにも組織を構成している”ヒト”を大事にすべきで、人事・労務まわりの整備が重要といえますね。
――顧問契約という”サービス提供方法”に課題があるということですね。
弊社では、助成金コーディネートというサービスも提供しています。
そこで多くいただくお客様の声、ご相談内容としては、顧問契約している社労士はいるが、相談した時しか動いてくれない、対応漏れ等のヒューマンエラーも発生しているというもの。
他にも社会保険などの行政手続きをするときや、就業規則等のメンテナンス、雇用契約書などの作成代行には別料金がかかる場合もあり、顧問契約の中でどこまで対応してくれるか、何をしてくれるのか分かりづらいことや、料金体系が見えづらいという課題もあります。
また、士業全般に言えることですが、一言で社労士といっても、労働法の専門家や人事評価の専門家、助成金の専門家など、その専門性は多種多様で、もし一人の社労士と顧問契約をすると、その社労士の専門性・能力値に依存したサービスしか受けられない、という課題がありますね。
――TRIPORT株式会社のサービスについて教えてください。
現在の社労士の様々な課題を解決するために、”いつでも・どこでも”、まるでクラウドサービスのように、誰でも気軽に使えるサービス提供方法が作れないものかと思い、そこで生まれたのが「クラウド社労士コモン」でした。
前述した顧問契約の課題も解決しつつ、例えば、労働保険や社会保険の行政手続代行や各種帳簿作成代行等に、何度でも無制限に対応できる仕組みも整えており、誰でも簡単に、社労士のアウトプットが安心して受けられるサービスになっています。
従来の社労士や顧問契約の在り方を根本から変え得るクラウド型サービスになっていると思いますね。
――クラウド社労士コモンは具体的に、どんなサービスですか?
具体的には、1社1社に用意される専用チャット空間に、独自のアルゴリズムで業種や従業員規模、また経営方針など、企業ごとの状況に合わせて必要なタイミングで必要な情報を定期的にお知らせし、普段忘れがちな人事・労務まわりの業務も教えてくれます。
そして、お知らせした内容に対して、会社として何かしらの対応が必要な場合は、依頼さえ頂ければ、そのままワンストップで弊社コンサルタントが対応し、完了したタイミングで結果報告を行います。
つまり、チャット1つで社労士業務におけるニーズ喚起からサービス提供までワンストップで受けられるサービスになっているんです。
企業様は社労士関連の業務や、日々生じる課題をチャットで丸投げ、いつでも相談することができます。
――ユーザーについて教えてください。
ユーザー層としては、大手企業も中小零細企業もどちらもいらっしゃいます。
それぞれでニーズが異なっているんです。
大手企業では、定型的な手続き業務などはすべて内製化されていることがほとんどです。そのため、例えば多様な人材を活用するために必要となるテレワーク導入についての労務相談など、コンサル部分でプロに相談したいというニーズがあるんです。
一方、中小零細企業では、人事・労務まわりが内製化しきれていないところが多くなっています。したがって、業務を外注したいなどのニーズがある。そこで弊社では、労務相談を含め行政手続代行など、さまざまな業務をフルでワンストップ対応させていただくことも可能にしています。
――既存のサービスとの違いはなんですか?
今までも、例えばキュレーションサイトのように、既にユーザーの頭の中にある課題、顕在化されたニーズであればインターネットで検索したり、誰かに相談して最適なソリューションを得られるサービスはありました。
しかし、クラウド社労士コモンのようにユーザー自身が気付けていない潜在的なニーズを掘り起こし、それに対する解決策をワンストップで提供できるサービスは少なかったんです。
潜在的なニーズを顕在化させ、結果までコミットしていくのが、弊社サービスの強みになっています。
――他に競合はいますか?
お客様に対面でサービス提供を行う社労士は競合となりますね。
対面でやり取りができる社労士の良いところは、サービス提供者に直接同じ空間で会え、”ヒト”を直接的に感じることができるという点です。
しかし、先ほどもお話した通りの顧問契約の様々な課題がある点、その他にも日々サービスを受けるためには、対面で会うための時間的・金銭的コストもかかってしまいます。
弊社ではこのような時間的・金銭的コストまで考慮し、生産性向上を実現するためにも、定型業務や労務相談ならば、むしろチャットやテレビ会議等のリモート対応の方が効率的だと考えています。
だからこそ、弊社は完全リモート対応でサービス提供させていただいています。これも大きな強みになっていますね。
――リモート対応には、さまざまなメリットがありますね!
他にも、例えば企業がひとりの社労士と顧問契約した場合、その他の社労士とは契約しないのが通常です。しかし前述した通り、社労士はそれぞれ得意とする専門分野があります。そのため、ひとりとだけ顧問契約している場合、幅広い問題に対応できないかもしれません。
だからこそ弊社は各分野の専門性の高い社労士や弁護士、事業会社、行政等から顧客のニーズに合わせて、最適な社労士・専門機関が提供する付加価値を照合し、お客様に最適解をお届けしています。
お客様1社1社にとって、必要な時に、必要なものをご提供できるようになっています。
――TRIPORT株式会社を立ち上げた経緯について教えてください。
私自身も学生時代に社労士の資格を取っていました。
その後、新卒では基幹業務系ソフトウェアの開発会社に入社し、HR系のクラウドサービス等のシステム開発を担当。
当時から世の中のニーズに合ったサービスを提供したいという想いがありました。でも、大企業だと限られた枠の中でしか、自分の力でサービスを作ることができなかった。
これでは世の中に与えるインパクトが小さいと思いましたね。同時に、世の中を少しでも良くするために自分のアイデアを具現化したいという強い想いがあったんです。
それらの想いを実現するために、会社を立ち上げました。
――ご自身の経験がサービス開発のきっかけになっているのですね!
他にも、ITをはじめ、世の中にはわかりづらいことや非効率なことが多すぎると感じたことも、起業したきっかけです。
例えば、基幹業務系のシステムを導入する際は、ITリテラシーだけでなく、会計等の業務リテラシー、さらに製品自体のリテラシーがないと使いこなせないですよね。同様に、法律や行政の仕組みもわかりづらいことや、形式的な業務フローとなっており非効率な部分が多い。
これらをシンプルにできないかと考えていました。
しかし、国の法律をシンプルに変えるのは難しい。それならば、私が間に入って、わかりやすくできないだろうかと考えました。
そこで今のサービスを立ち上げました。助成金コーディネートや働き方コーディネートなどのサービスも始めています。
――クラウド社労士コモンの今後の展望について教えてください。
人事・労務の領域は、昨今、HRTech系サービスが次々とリリースされており、それぞれ業務を効率化する素晴らしいサービスです。
ただ、これらのサービスは、例えば「まるで優秀な社員が誰かに指示された訳でもなく、すべて勝手に人事・労務関連業務を正確にこなしてくれている」と感じられる次元のサービスまでには至っておらず、そういう面では業務効率化の余地がまだまだある分野といえます。
そのため、クラウド社労士コモンでニーズの顕在化を進め、そのままRPAなどのテクノロジーで一気に企業の生産性向上という課題を解決していくサービスとして考えており、現在もバージョンアップ中です。
今後もこのようなIT面の生産性向上まで、具体的に切り込んでいくサービスを作りたいですね。来年の冬には新バージョンのリリースができるよう開発を進めています。
――TRIPORT株式会社のミッションを教えてください。
世の中の経営者の多くは、当然事業を発展させるために利益を追求しながらも、「人を幸せにしたい」という強い想いが根本にあって経営していると思います。しかし、経営には本業だけでなく間接業務がどうしても発生してしまい、本業以外でどうしてもやらなければならないコスト業務が出てきてしまう。
だからこそ、そんな間接業務を丸投げしてもらえるようなサービスにしていきたい。そして、世の中の経営者には本当にやりたいことに注力してもらい、その先により良い世界、未来を作っていってもらいたいと考えています。
――世の中の経営者を後押しすることで、世界を良くしていこうと考えたサービスになっているんですね!
他にも地方創生をミッションにしています。
私は今、沖縄に短期移住をしているんです。
沖縄では、所得が東京などの都市部に比べて低く、どうやって雇用創出・安定雇用を実現し、賃金を上げつつ消費を生んでいくかが課題になっています。
だからこそ、直近では1つの解決の糸口として東京などの都市部の仕事を沖縄でできるようにするテレワークの仕組みなどを、実際に利益に繋がる次元でコンテンツ化し、様々なアプローチで地方創生に切り込んでいける具体的解決策を探っていきたいと考えています。
クラウド社労士コモンが気になった方は、ぜひサイトも要チェックだ。
TRIPORT株式会社は、他にも「働き方コーディネートサービス」と「助成金コーディネートサービス」を提供している。
「働き方コーディネートサービス」では、『実態調査×社内インフラ整備×助成金活用』により従業員が「働き続けたい」と思える職場環境づくりをトータルサポート。
「助成金コーディネートサービス」は、膨大な数の助成金の中から、御社に最適な助成金を受給確率を考慮しつつ、複数選定し提案している。助成金の選定から申請までワンストップで対応できるのが特徴だ。
詳しく知りたい方は、コーポレートサイトをチェックしてみてほしい。
取材担当橋本
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