研究業界には、論文数の低下や研究費の減少などの課題がある。他にも、研究には大学が密接にかかわっているのだが、その大学の運営費すらも削減されている現状だ。そのため、研究費が獲得できず苦しんでいる研究者がたくさんいる。
課題はこれだけではない。
研究費を獲得したとしても、膨大な事務作業が必要になる。研究費有効活用のため、複雑なルールが存在しているのだ。監査などの対応もしなければならず、研究者が事務作業に多大な工数を割なければいけない現状にある。
これらの課題を解決できるサービスが登場した。株式会社Inner Resourceが運営する「リプルア」だ。
リプルアを使えば、研究費の有効活用を促進できる。それだけではない。研究以外の事務作業の時間まで削減可能だ。
どんなサービスなのだろうか。代表取締役 松本剛弥氏に話を聞いた。
代表取締役
松本剛弥
――リプルアについて教えてください。
リプルアは研究者が研究に没頭できるようにサポートするサービスです。
相見積の取得・発注手続きを簡単にできる機能や、書類・予算の管理を効率化する機能を備えており、10%~30%の研究購買費の効率化、最大80%の業務効率化に成功しています。
――他に機能はありますか?
リプルアには試薬在庫管理機能もあります。
研究室はモノの管理までやらなければいけません。しかも研究室には、危険物や毒物など法令に則ってしっかり管理し、状況を報告しなければいけないものもあります。
そこで、リプルアは研究室の在庫状況を簡単に可視化。労力・時間のかかる作業をルールに則って簡素化しています。
――ユーザーについて教えてください。
リプルアのユーザー様は、大学の研究室はもちろんバイオ・創薬をはじめとした民間の研究企業様にもご利用いただいています。
他にも研究機関が併設されている病院でもお使いいただけます。
――ユーザーが実際に使ってみて、どんな意見がありましたか?
リプルアを使ってから「研究以外の業務にかかっている時間がおよそ80%削減された」というお声を頂きました。
ある会社様では、今までは現場の人が欲しいものを事務に発注し、サプライヤーに相見積を取っていました。この相見積の仕組みはいまだにファックスや電話。さらに承認フローも複雑。これらのプロセスを踏むと、研究者が欲しいと言ってからモノが実際に発注されるまで平均でも3日かかってしまっていました。
それがリプルアを使えば、定められたルールを遵守しながら、当日中に発注業務が完了するようになるんです。このように業務の効率化を圧倒的にサポートすることが出来ています。
――強みについて教えてください。
リプルアのシステム提供に加えて、業界の経験者がサポートをしている点は強みになっていますね。
私たちは、単にシステムをつくる会社ではありません。研究費の有効活用や業務効率化などのコンサルティングも承っております。
このように業界の課題解決を包括的に行っていることが強みになっていますね。
――研究業界に踏み込んだきっかけについて教えてください。
研究業界に踏み込んだのは、家族が難病指定されたのがきっかけです。
担当医からの説明は「わからない」と繰り返すばかり。
当時は、この「わからない」という言葉に本当に悩まされた。数年間もがき苦しんだ時期があったんです。
このような状況を抜本的に解決したい。そう思って、研究業界に踏み出しました。
――それからどんな流れがあったのですか?
「わからない」ことに悩まされたので、この課題を解決するべく研究支援の仕事をしたいと思いました。
そこで、まずは専門商社に就職。研究者のコンサルを通して、試薬や理化学機器を卸す業務を担当しました。
研究者をサポートする日々の中で、「1人の商社マンとしてのサポート」には限界があると感じるようになりました。研究業界の課題を根本的に解決できる仕組みを開発しなければと思うようになったんです。
――どんなサービスを構想したのですか?
研究者の雑務を減らし、少しでも研究に割く時間やリソースを増やすサービスを創りたいと思いました。
相見積を取得する手間を減らし、書類やデータ関連を簡単に管理ができるサービスを開発し、研究者の負担を軽減するのと同時に、研究費の有効活用も推進する。それが「リプルア」です。
――リプルアの今後の展望について教えてください。
リプルアは研究業界全体の課題を解決できるサービスに成長していきたいと思っています。
そのためには、購買・試薬在庫管理に限らず、あらゆる無駄を効率化するサービスが必要です。
今年はさらに研究を促進する2つのプロダクトをローンチ予定です。ご期待ください。
――「リプルア」のサービス名の由来について教えてください。
「リプルア」は世界で一番小さな川の名前です。
深い地下水がリプルア川を通って、黒海に流れ出ていきます。この川のように、日の目の浴びないところで生み出されたものがより広く世界に広げていけるようなサービスを提供したい。そんな想いで「リプルア」と名前をつけました。
「リプルア」というブランドを確立し、さまざまな課題を解決できるサービスを提供し続けていきます。
――株式会社Inner Resourceの展望について教えてください。
まずは日本、その後世界でも使えるサービスを展開していきます。
その先駆けとしてアジアへの進出を考えています。
リプルアのサービスが気になった方は、ぜひサイトをチェックしてみてほしい。
取材担当橋本
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