エンタメ業界では、チケットの違法転売に苦しんでいる。課題はこれだけではない。データマーケティングの導入が遅れている現状にある。
この現状を解決できるサービスがある。日本最大級の電子チケット提供サービス「ticket board」だ。株式会社ボードウォークが運営している。
電子チケットを導入することで、所有者を明確にでき、違法転売を防ぐことができる。また、チケットを購入したデータを集められるので、データマーケティングに応用することも可能だ。
果たして、ticket boardはどんなサービスなのだろうか。執行役員の前川氏に話を聞いた。
執行役員
前川 佳輝
――ticket boardについて教えてください。
「ticket board」は電子チケットサービスです。QR コードやLIVE QRという専用アプリを利用することでスマートフォンがそのままチケットになります。
有名アーティストの音楽イベントや展示会など、さまざまなシーンで導入されています。
――従来の紙のチケットと、電子チケットはどうちがうのでしょうか?
電子チケットのほうが、データマーケティングがしやすい特徴があります。
電子チケットの導入により、基本的な情報としてどのぐらいの申し込みがあり、その人達の性別や年齢、居住地などのデータを蓄積できます。加えて、リピート率や新規のプロモーションが集客につながっているかについても分析できるようになります。
このように電子チケットはさまざまなデータを集められます。そしてデータを分析した知見をイベント主催者やコンテンツホルダーに提供することで、イベント主催者やコンテンツホルダーのビジネスのサポートをしています。
――他に違いはありますか?
紙のチケットだと、誰が来場したかわからないという課題があります。チケットの購入者と1枚1枚のチケットを結び付けられないのです。そのため、チケットを他の人に渡したり、売ってしまってもわからない。特に、購入者と一緒に来場する同行者については、捉えづらいという課題があります。
一方、電子チケットの場合は、同行者にもticket boardのアカウントを開設していただいています。アカウント作成自体は無料でできるため、同行者の方に金銭的な負担は発生しません。そのため、同行者を含めて、チケットが誰のものなのかを明確にできるんです。このことにより、記名式のチケットにするなど転売防止の施策も取りやすくなっています。
――ticket boardの事業の特徴について教えてください。
ボードウォークでは、電子チケット事業であるticket boardに限らず、ファンクラブ事業やEC事業にも取り組んでおります。これらの包括的なデータマーケティングができる点も特徴です。
――強みについて教えてください。
社内にはエンタメ業界の出身者も多く、電子チケットというテクノロジーを提供する会社でありながら、エンタメの視点でビジネスを設計できる点が強みになっていますね。
――電子チケット事業に取り組み始めたきっかけについて教えてください。
ゼロ年代が始まったところで、データマーケティングの時代だと言われていました。しかし、紙のチケットだとデータが集められなかった。
加えて、エンタメはデータ活用から遠い業界でした。チケット販売は小売業という側面がありながら、基本的なデータを集められていなかったんです。しかし、エンタメが多様化していく現代においてデータを活用しなければ、勝ち続けることはできません。そこで、電子チケットにより、データを活用できる環境を整えたいと思ったんです。
これがticket boardの事業に取り組み始めたきっかけになっています。
――前川さんがticket boardの事業にジョインしたきっかけはなんだったのですか?
私は、前職で映画のデータマーケティングの会社に勤めていました。ここで「エンタメ×データ」が面白いと思うようになったんです。
もちろん、エンタメ領域においてはクリエイティビティやトレンドを読むセンスが重要です。それでもデータは無力ではありません。役に立つことはたくさんあります。エンタメ業界で電子チケットを使って、マーケティングをすることに将来性を感じたんです。
――今後のticket boardの展望について教えてください。
今後はマーケティング情報を提供するだけではなく、さらなる付加価値を提供していきます。
たとえば、航空会社さんは、飛行機を提供するだけでなく、パッケージプランを提供していたり、飛行機を降りた後の観光の手配をしたりしていますよね。飛行機に乗る以外にも付加価値を提供しているんです。
同様に、私たちはライブのチケット販売以外の付加価値を提供していきたい。
利用者の方が、チケットを購入する前から気分が上がり、テンションマックスで家に帰れるようにサポートするのが理想です。。
具体的には、遠距離からきた人には公演前後の宿泊施設を提供することを考えています。また航空券や駐車場の手配をしていくというアイデアもあります。。公演が終わった後に、ファン同士が感想を語り合う場所として、来場者と飲食店などとのマッチングもしていきたいです。
――他に考えている展望はありますか?
エンタメ領域で継続して勝ち続けていくためには、インバウンドを意識する必要があります。そのため。インバウンド対応も進めていこうと考えています。日本のエンタメを海外も含めてより広く知ってもらえるようにしていきたいですね。
――ミッションについて教えてください。
私たちは、ファンにとってのアーティストとコンテンツの価値を最大化できるような楽しみ方を提供していこうと考えています。
そのために、アーティストの方やコンテンツホルダーの方々が、ファンに対して価値を提供したいという場面でご相談いただければ、ファンクラブ・グッズの販売・宿泊など様々な仕組みを包括的に提供できる体制を整えるようにしていきます。
我々は単なるチケットの販売会社ではありません。より良いサービスの提供の仕方を考え、サービスを提供し、アーティストとコンテンツの価値を高めていければと思っています。
ticket boardを運営しているボードウォークが気になった方は、
取材担当橋本
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