事業計画を作成するための負担は大きい。
多くの場合は事業計画のお手本を探すところから始めるであろう。しかし、このお手本を見つけることにまず時間を要する。本などを参考にしてもいいが、特に数字の計画の作成については、詰め切れている本は少ない。
また、数値計画のフォーマットがあったとしても、中身の数式は自分で作らなければならないことが多いのだ。そのため、スタートアップにとって収益性のシミュレーションや資金の流れを表現するのは、非常に複雑で難易度が高くなってしまっている。
他にも、スタートアップは事業計画を考える上での相場感がわからないという難点もある。人材を採用するための費用や、オフィス移転のための費用の計算を忘れがちなのが現状だ。
これらの事業計画を作成する負担を軽減し、経営者が事業に集中できるサービスがある。
株式会社プロフィナンスが開発・運営を手掛ける「ProfinanSS」(ヨミ:プロフィナンス)だ。
ProfinanSSを使えば、スタートアップが意識すべき数値がサービス上に集約され、簡単に抜け漏れなく計算が可能。
この計算を簡便に行うことで、自社のコンセプトの磨きこみもでき、正しい数値計画を立てることができるようになる。
ProfinanSSとはどんなサービスなのだろうか。詳しく見ていこう。
代表取締役 CEO
木村 義弘
――ProfinanSSについて教えてください。
ProfinanSSは一言でいうとクラウドで事業計画を簡単につくれるサービスです。
――どうやって利用するのですか?
Web上でガイドに沿って数値入力をしていくだけです。
①ガイドに沿って数字を入力していくだけで簡単に事業計画が完成!
②財務三表を自動で生成!グラフ表示やEXCELダウンロードで実務に即時活用!
③投資家視点でのセルフチェック機能で資金調達に備えて事業計画を壁打ち
――どんな方が利用されていますか?
これから創業する方、現役の起業家や新規事業開発担当の方に使っていただいています。
今のところ、具体的な目的としては、
- 自分の事業を考えるため
- 資金調達のため
- 新規事業検討のため
にご利用いただいていますね。
――現在、どれくらいユーザーが利用していますか?
2019年の12月からローンチして、現在(2020年1月末時点)およそ1000ユーザーの方にご利用頂いています。
――ユーザーが得られるメリットについて教えてください。
ユーザー様が得られるメリットとしては、労力をかけずに事業の数値計画が立てられる点です。
現状として、事業計画を立てる時には、Excelで複雑な数式を組まなければいけませんでした。
しかし、ProfinanSSを使えば、簡単に売り上げの成長計画を見られるようになります。そのため、どれくらいお金が必要になるのか、いつごろお金が足りなくなるのかなどを体感的に理解することができるんです。
――競合サービスはありますか?それとの違いは?
類似サービスでは日本クラウドキャピタル様が提供しているFUNDOORがあります。こちらは同社が運営されているFUNDINNOというクラウドファンディングサービスの入り口として活用が期待できる良いサービスです。
一方、我々のProfinanSSは資金調達を必ずしも前提とせず、経営実行のINPUTとしての計画を作ることをサポートするサービスとして位置付けています。
事業運営では資金調達は手段であって、またその資金ソースも
- 自社事業の営業キャッシュフロー
- 銀行などからの借入
- 投資家からの投資
などの特徴を理解して展開する必要があります。
ただ、それ以上に最強の競合はExcel、Spreadsheet、自分です。
――「自分」が競合というのは、どんな意味ですか?
ExcelやGoogle Spreadsheetはかなり自由度が高く、最強の競合はいつも自分だと思っています。
私自身、スタートアップの事業計画・数値計画立案を支援していましたし、コンサルティングファーム在籍時には、国家プロジェクトの支援の中で発電所や工業団地の事業計画を作成したりもしました。
スタートアップから大企業、インフラプロジェクトまで幅広く、事業計画を作成してきた知見がありますので、表計算ソフトを使えばどんなタイプでも作れます。
ただ私ひとりで対応するだけでは限界があります。1社の事業計画をきちんと作る場合、調整討議も含めて頑張って1週間はかかるでしょう。けれど、そうしても年間50社しかご支援できない。私に残された企業人人生では、せいぜい1,000 – 2,000社程度しかご支援することがでないでしょう。
だからこそ、自分をリプレースできるようなサービスを開発して、多くの企業の事業計画に関する悩みや課題を解決したい。自分がいなくてもいい世界を創りたいんです。
だからこそ、ProfinanSSで仕組み化を進め、2か月で1000ユーザーに使っていただけるようなサービスとなりました。1,000ユーザー凄いでしょ、ということを言いたいのではなく、これだけ少なくともニーズがある、困っている方がいるということだと思っています。
そのためにも、サービスのブラッシュアップを進めていく予定です。
――もともと何をしていたのですか?
大学院修了後、ベンチャー投資、投資後のベンチャーの支援に従事していました。その時に投資先の事業計画を苦労して作ったのが原体験です。
その後、グローバルコンサルティングファームであるデロイトでミャンマー事務所立ち上げ等に携わった後、事業会社のM&A担当として、国内外のM&Aをリードしました。その中で、買収先のCFOとして経営を担う機会にも恵まれました。
――なぜこのサービスを始めようとしたのですか?
実は10年前から事業計画の定番ツールを開発したいと考えていました。しかし力不足で一度は断念しました。
その後、コンサルティングファームでの経験、事業会社でのM&A・CFOの経験を通じて、より広い観点を得ながら、点と点であった色々な原体験が一つの線で繋がった瞬間がありました。そのときこの領域でまだ定番ツールがないことに気づき、改めて取り組もうと決心しました。
――ProfinanSSの今後について教えてください。
ファイナンス・管理会計の領域であるため、その領域で必要となる機能の実装を考えています。
まずは経営のデザインの部分、つまり計画部分の機能を拡張し、その後管理の部分、具体的には予実管理等を取り入れていきたいと考えています。
ターゲットユーザーは当初スタートアップや大手企業の新規事業ですが、スタートアップにしろ新規事業にしろ動的に成長していくものだと認識しています。
ユーザーの企業の成とともに、ProfinanSSというプロダクトも成長させていきたいと考えています。
――スタートアップの成長とともに、ProfinanSSも進化していくのですね!
はい。事業計画を取り巻く計画作成や管理については、企業のステージによって課題が変わっていきます。
たとえば、スタートアップから一段成長して、例えば資金調達をした後では予実管理が必要になります。
さらに成長し、上場して大企業となり複数の事業・子会社を持つようになったとき、事業単位・子会社単位での事業計画・予算も作成しなければなりません。そうなると、作成するだけではなく「予算編成(=とりまとめる)」という業務が発生しますが、これが非常に負担が大きいのです。
私自身、断片的ではありますが、キャピタリストとして、CFOとして、大企業のコンサルとしてそれぞれ原体験があります。今は自分自身がスタートアップとして日々経験していることもあります。
その時々で自分が苦労したこと、辛かったをプロダクトで解決できるようにしたいと思っています。
――他に考えている展望はありますか?
当領域は会計は会計でも管理会計・ファイナンス領域であるため、会計基準に縛られません。したがって一定程度の対応と言語対応により、海外展開が可能と考えております。海外での会計事務所立ち上げ、CFOの経験を生かして、頑張りたいと思っております。
――目指す世界はありますか?
B2B SaaSが広まることによって、より経営がサイエンス(再現性を意識するもの)になりつつあります。当プロダクトが目指すのはできる限り経営のサイエンス部分、つまりロジックで対応できるところを経営者の皆様にとって効率化・高度化することです。
それによって、経営者がもっと人間らしさを発揮できる、ビジョン・ミッションに邁進できる、そういう世界を実現したいのです。「日本発のB2B SaaS」としてそんな世界を実現できるよう微力ながら頑張りたいと思っています。
海外を見据えて「日本発のB2B SaaS」として展開したいと考えています。
ProfinanSSについて気になった方は、ぜひサイトをチェックしてみてほしい。
取材担当橋本
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