株式会社Zofukuが提供する「Space Income(スペースインカム)」は、データセンターを運用したい個人や事業者と、コンピューティングリソースを設置する空きスペースをマッチングするサービスだ。
代表取締役の新倉康明さんは、ブロックチェーンの普及と活用されていない空きスペースを多く持つ不動産業界の課題を解決するため、同社を立ち上げた。
サービスの提供を通じて、リアルアセットや個人が分散化した社会の実現を目指すそうだ。
「スペースインカム」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社Zofuku 代表取締役
新倉康明
ーー「スペースインカム」を一言でいうと?
ブロックチェーンを用いた分散型データセンターを運用したい投資家や事業者と、コンピューティングリソースを置く空き家や空きスペースをマッチングするサービスです。
ーーどんな方が空きスペースを登録していますか?
アパートの空室が埋まらずに困っている個人の大家さんや、使用していない倉庫を持つ事業者さんなど、個人・法人を問わず全国からご登録いただいています。
スペースを登録する最低限の条件は、「電力が確保できること」「光回線が敷設できること」「浸水しないこと」「スタッフが出入りできること」だけです。物件の広さは条件に入らないので、活用されていなかったスペースの収益化を容易に実現できるでしょう。
ーーデータセンターを運用するまでの手順を教えてください。
弊社にお問い合わせいただくと、スペースインカムに登録された空きスペースを紹介させていただきます。物件の条件に合わせてコンピューターを購入してください。
契約を結んでからセットアップが完了するのにかかる日数は35~40日程度です。電気の配線工事から機器の設置、メンテナンスまで弊社が一貫して行うので、他の設備投資は必要ありません。設置が完了したら、すぐに稼働を開始できます。
ーー競合サービスはありますか?
分散型データセンターに関するサービスは他にありませんが、スペースシェアリングビジネスという観点なら、競合サービスは存在します。
ーー競合サービスとの差別化点を教えてください。
スペースインカムの強みは、不動産を収益性から再評価できる点です。
他サービスでシェアされているスペースは、人が利用することを前提として価格がついていますが、スペースインカムに登録されているスペースは、機械の運用のしやすさによって価値づけがされています。住居として使用しづらい空間でも、電気設備やインターネット回線の環境が整っていれば、高い評価を得ることができるのです。
ーーなぜこのサービスを始めようとしたのですか?
今まで活用されてこなかった不動産を機械による需要で再評価することで、不動産業界の課題を解決したいと思ったからです。私が育った実家は小さな不動産業を営んでいるので、空き部屋が埋まらずに苦しんでいる不動産業者を身近に感じていたんです。
少子高齢化の影響で人が住む部屋の需要減少が避けられない中、コンピューティングリソースを設置するスペースの需要に着目しました。誰もが空きスペースにデータセンターを誘致できるようになれば、使われていない不動産の有効活用ができると考えたのです。
しかし、現在それを置く場所として機能している不動産は、Amazonなどの巨大企業の多額な費用をかけてセキュリティが強化されたデータセンターに限られています。そこで、外部環境を厳重に守らなくてもデータの安全性を保てるブロックチェーンを活用すれば、「データセンターの民主化」が実現できるのではないかと考え、スペースインカムの立ち上げに至りました。
ーーこのサービスの今後は?
私たちのコンピューティングリソースを使って、分散型クラウドのようなサービスを作っていきます。
これが実現すれば、ノードを運営している事業者の支払いをスマートコントラクトで済ませるなど、業務の効率化をブロックチェーンで進めることが可能になるでしょう。
また、我々のコンピューティングリソースが全国に普及すれば、地域のデータセンターを中心としたまちづくりも可能になると考えています。サービスの提供を続け、今まで住み分けられていた人間とコンピューターの領域の壁をなくしていきたいです。
ーー目指す世界観を教えてください。
リアルアセットや個人が分散化した社会を作りたいです。
ブロックチェーンやスマートコントラクトなどのテクノロジーの普及で、各個人がデータセンターを所有し、中央集権的な管理を必要とせずにデータを扱えるようになれば、世界で回っている経済の仕組みを個人で作れるようになります。
どこにいてもブロックチェーンを使った自由な取引ができる世界を実現できたらいいですね。
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