多くの人を苦しめる糖尿病をはじめとした生活習慣病。予防・治療に有効なのが食習慣改善だ。しかし、健康のために何を食べるべきなのか、専門知識がなければその判断は難しい。
株式会社Mealthのが提供する「Mealthy(メルシー)」を活用すれば、管理栄養士によるマンツーマンの食事指導をオンラインで受けることができる。
同社は、スマートフォンさえあれば誰でも食事を通じた健康増進ができるようにサービスの開発を進めてきた。今後は現在アプリ内で栄養士が担っている作業をAIに代替していくそうだ。
どんなサービスなのか。代表取締役の鈴木勝之さんに話を聞いた。
株式会社Mealthy 代表取締役
鈴木勝之
ーー「メルシー」とはどんなサービスですか?
バーチャル栄養アシスタントが糖尿病・透析予防のための食習慣改善をサポートするサービスです。ユーザーはスマートフォンを持っていれば、専任の栄養士によるマンツーマンの食事指導をどこでも受けることができます。
ーーどんな方が利用するのでしょう?
健康保険組合に所属されている方が主な対象です。
健康診断を受けたときに「要指導対象者」と診断された方に食事指導を行うことで、体重減少を通じた健康増進を支援し、翌年度以降の指導対象者を減らす取り組みをしています。
ーーどうやって利用するのですか?
朝昼晩の食事写真をアプリ内に投稿すると、担当の栄養士が24時間以内に食事に対するアドバイスをします。指導対象者はアドバイスに従って食事内容を改善します。このプロセスを繰り返すことによって、「3か月間で体重の5%減」や「血中や尿中の数値改善」といった目標の達成を目指していきます。
ーー競合サービスはありますか?それとの違いを教えてください。
ダイエットを目的としたヘルスケアアプリは他にも無数にありますが、メルシーは食事を通した「本質的な健康」を目的としたサービスです。
我々は「痩せる=健康」だとは考えていません。間違った痩せ方をすると、血液の状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。メルシーは、あくまで病気予防を主眼としながら、その目的にかなう痩せ方ができるサポートをしているのです。
ーーサービスをここまで開発してきた経緯について教えてください。
メルシーは、元々は日々の食事が外食やコンビニを中心とした多忙なビジネスパーソンをターゲットに「健康志向の食べログ」としてスタートしたサービスです。忙しく働く人たちでも近くにあるレストランやコンビニで自身にとって健康的なメニューを選べたら、一つの社会課題を解決できるのではないかと考え、開発しました。アプリには、メニューベースでレストランやコンビニの位置検索ができる機能が今でも付いています。
しかし、サービス展開を進める中で、「食育」を受けたことがない多くの人にとって、そもそも体に良いメニューを選ぶこと自体が難しいことに気づきました。そこで、ユーザーに正しい食の知識を身に着けていただくために「栄養士のサポート」を機能として追加しました。現在では、誰でも健康な食生活を送れるようにするために、その機能をメインとしたサービスとして運営しています。
ーーこのサービスの今後は?
現在アプリ内で試験的に運用しているAIアシスタントの開発を進めていきます。将来的にサービスをスケール化していったときに、必ず栄養士の人手が不足するからです。
料理名のついていない自炊料理などは特に、AIの画像解析でユーザーが食べた物を分析するのは難しいですが、蓄積したデータで機能のブラッシュアップを続け、栄養士が担っている作業を徐々にAIに代替していきます。
ーー新規プロダクトの立ち上げは検討していますか?
今後は食事療法での対処を目指す病気の幅を広げていく予定です。現在サービスを提供している法人様からは、糖尿病・透析予防以外にも心疾患などのさらにハイリスクな病気に対する食事指導のご要望をいただいています。
また、AIアシスタントはオープンソースで開発していきたいと思っています。本年6月に取得した特許を活用しながら、APIやSaaSといった形で業界の様々なサービスを支える基礎技術として社会実装を進めていく予定です。
ーー目指す世界観を教えてください。
スマートフォンを持っていれば、世界中のどこにいても日常の食事だけで病気にならない世界を目指します。
糖尿病だけでも世界に患者が4億人、経済損失は年間100兆円と言われています。この世界規模の社会課題を解決することが私たちの使命です。
食事療法はもともと病気の発症を防ぐ予防治療の領域ですが、病気そのものの治療にも役立てられると信じています。人それぞれの異なる健康状態に対して大量に蓄積したデータを活用することで、一人ひとりに個別化された食事提案を行い、すべての人の「本質的な健康」を実現していきたいですね。
「Mealthy(メルシー)」が気になった方は、以下のリンクまで。
取材担当佐野
取材させていただけるスタートアップ、募集中。詳しくはこちら。
AIアクセラレーター、募集中。メンタリングを受けた人の感想はこちらやこちら。
30分で取材
掲載無料
原稿確認OK