新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが普及した今、WEB会議システムを使う機会が増えている。オンラインミーティングを主催したとき、参加者の反応が分かりづらく、相手に話が伝わっているか不安に思った経験がある人は多いのではないだろうか。
そんな時に株式会社I’mbesideyouが提供するサービス「I’m beside you」を利用すれば、オンラインミーティングの参加者一人ひとりの反応を定量的に把握することができる。
どんなサービスなのか。代表取締役社長の神谷渉三さんに話を聞いた。
株式会社I’mbesideyou代表取締役社長
神谷渉三
ーーI’m beside youとはどんなサービスですか?
WEB会議システム上で行われるコミュニケーションの質をマルチモーダルAIが参加者の表情や音声から分析することで、参加者一人ひとりの反応を可視化するサービスです。
ーーどのような方がサービスを利用していますか?
オンライン家庭教師など、Zoom等のビデオ会議で対面するサービスでご利用いただいています。
ーーオンラインで授業を行う家庭教師がこのサービスを使うメリットは何ですか?
メリットは3つあります。
1つ目は、授業のダイジェスト動画を提供することで保護者に安心感を与えられることです。オンライン家庭教師サービスでは、生徒と先生のコミュニケーションがどうしてもブラックボックスになりがちだと思います。生徒一人ひとりの反応をみえる化したダイジェスト動画を保護者に見てもらうことで、授業で行われていることを透明性を保ちながら伝えることができます。
2つ目は、先生や生徒へのフィードバック資料になることです。授業中にすべての参加者の反応を捉えることは難しいですよね。AIの分析で生徒の反応が可視化されれば、先生や生徒は自分と相手の授業での様子を改めて振り返り、これからに活かしていくための学びを深めることができます。
3つ目は、経営層がサービスをマネジメントできることです。オンライン上の先生と生徒のコミュニケーションでは空間がブラックボックス化するため、先生が誤った指導を行ってしまう恐れがあります。これをAIが検知し、ダイジェスト動画のURLを経営者に共有することで、授業を効率的に見守ることができます。悪い面だけでなく、よいコミュニケーションの実例を他の先生と共有することで、すべての授業によりよいフィードバックを与えることもできます。
このように先生・生徒・保護者・経営者すべての方にフィードバックを行い、オンライン化が進む教育業界を支援しています。
ーーサービスにAIを活用することによる強みを教えてください。
人以上に人に寄り添えることです。私たちは、あくまでも人同士のコミュニケーションが第一だと思っていますが、オンライン上の会話ですと、どうしても細かい表情や視線は見落としがちなんですよね。AIの力を借りることで見落とした部分を見える化し、悪いサイクルを断ち切ることで、空間を超えた人と人とのコミュニケーションをより活性化させます。
ーー現時点で競合はないと思いますが、類似サービスが出てきた場合はどこが差別化点になると思いますか?
複数の会社の動画データを回収し、解析している点です。Zoomの録画に限らず、動画であればどんなものでもマルチモーダルAIは解析できるので、大量のデータを扱えることが弊社サービスの強みですね。
ーーこの事業を始める前は何をされていたのですか?
NTTグループで新規事業のマネージャーを担当しつつ、「Nei-Kid」や「Time Leap Academy」の立ち上げなど教育分野で副業をしていました。
ーー大企業をお辞めになってこの会社を立ち上げられた理由は何ですか?
ベンチャーの方がスピード感を持って事業を進められると感じたからです。
副業として教育に携わっているとき、良い教育を受けられるのは情報感度の高い保護者の子供や、上位何%の授業料を払える保護者の子供に限定されてしまっていることに課題感を感じていました。もし、子供達が良い教育を受けても、その社会構造に芽を潰されてしまったら意味がないですよね。
その経験から、社会全体の物差しをテストの点数のような一律のものでなく、それぞれの個性に寄り添ったものに変えていきたいと強く思うようになったんです。もちろん、NTTで新規事業を立ち上げることもできましたが、目標達成のためにはスピード感が必要だと思い、株式会社I’mbesideyouの立ち上げに至りました。
ーー今後はどのように成長していきたいですか?
「I’m beside you」をオンライン教育の基幹システムとして発展させていくとともに、サービスのグローバル展開を図りたいです。
機能面の進化としては、現状は表情や視線をもとに分析を行っていますが、今後は脈拍数なども読み取れるようにしていきたいです。また、キーボードでデータを打ち込むのではなく、AIが動画から正しくデータを記録するようにしてPDCAの効率化を図ります。そうすることで、教育機関だけではなく営業や大人同士のコミュニケーションなど、様々なシーンで使えるようになると考えています。
今後は、非言語情報を扱っておりローカライズが容易な動画解析の特性を生かしてグローバル化を進めたい。現在153ヵ国で国際特許を12件出願済です。弊社にしかできない方法で、唯一無二なサービスを世界中の人たちに提供していきます。
ーー目指している世界観を教えてください。
「社会全体を学校にする」が私たちが掲げるビジョンです。出会うすべての相手が唯一無二であることを認め、人から何かを学ぼうとする人であふれる社会にしたいと思っています。
株式会社I’mbesideyouの「I’m beside you」が気になった方は以下のリンクまで。
取材させていただけるスタートアップ、募集中。詳しくはこちら。
AIアクセラレーター、募集中。メンタリングを受けた人の感想はこちらやこちら。
30分で取材
掲載無料
原稿確認OK