築数十年の物件を持っているが、活用方法がわからない。高いコストをかけてリノベーションしてもそれを上回る利益を得られるかわからず、放置してしまっている。このような理由から放置されてしまっている遊休不動産は多い。また、自分で店を開きたいが、適当な場所が見つからなかったり、場所があってもその有効活用の仕方がわからなかったりする人もいる。そんな人たちの悩みに対して最適な答えを出してくれる会社がある。
株式会社スペリアルだ。
同社は、使われていない物件を賑わいもって再生したいという想いを持つ創業者によって立ち上げられた。サービスの提供を通じて、有効活用できていない物件や、想いがあっても形にできずにいる人の「もったいない」状況を無くすことで、街に賑わいをもたらし、働いている人の選択肢を増やすことを目指すそうだ。
「スペリアル」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社スペリアル 取締役
吉田柾長
1993年神奈川県生まれ。
青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、株式会社ぐるなびで飲食店のプロモーションコンサルティングと、食を通じた企業・自治体のプロモーション企画案件のプランナー、全国規模のプロジェクト担当としてプロジェクトマネジメントやマーケティング業務を経験。
株式会社アスラボに転職し、経営企画兼マーケティング担当として、デベロッパーとの調整・店舗企画・出店者リーシング・出店者審査・オープンプロモーション・オープン後のマーケティングコンサルティングと多岐にわたる業務を兼任。
フリーランス転身後は主に店舗ビジネスのプロデュースとマーケティングコンサルティング事業に携わる。
2020年8月に株式会社スペリアルを設立、取締役COOに就任。使われていない土地(スペース)を有効活用し、賑わいをもった場づくり(リアル)を提案・トータルプロデュースする会社
ーー「スペリアル」は一言でいうとどんなサービスでしょうか。
使われてない遊休不動産を再生させ、その場所を使って開業したい挑戦者のビジネスモデルを一緒に考える、場所と人を結びつけるサービスです。
ーーどんな方が利用していますか?
まず、物件を所有しているものの、活用の仕方がわからない方や、放置されている物件を持っている不動産オーナーの方に物件の活用方法を提案しています。
もう一方では、開業を考えて場所を探している方や、 資金調達や場所の有効活用の仕方で課題を感じている方に対してサポートを行なっています。こちらは一般的な会社員やフリーランスで仕事をされている方が対象となります。
ーー利用状況を教えてください。
「Neriba」はシェアハウス、バー、コワーキングスペース、イベントスペースから構成されています。県庁職員から安定を捨てて場づくりに挑戦する方が運営しています。
「b.e.park」は飲食店とシェアハウスの複合施設で、美容師から美容商品開発を経て飲食プロデュースをする方、複業で教育の在り方を変えるべく教育劇団を運営している方の2人が運営しています。
開業を考えている方を外部からサポートするというより、メンバーとして一緒に創り上げていくイメージです。
ーーサービスの特徴を教えてください。
弊社サービスの特徴は大きく二つあります。
一つは、サービスの対応範囲の広さです。不動産選びから設計施工、コンテンツ企画、デザイン、 Webサイトの制作、マーケティングなど、不動産のハードの部分から集客のソフトの部分までトータルでサポートすることが可能です。
弊社は元々フリーランスのチームで活動しており、 メンバーには不動産企画や設計施工、マーケティングなどの各分野のプロがいます。
異なる分野の専門家が集まっているので、例えば、内見する際には店舗の内装などのデザインを同時に考えることができます。一般的に、開業したい人の要望だけを聞いて店舗を作り、出来上がった時に開業者の方が思い描いていたイメージと変わってしまうことがよくありますが、スペリアルでは内見・設計・企画の段階で各プロが多角的な視点で検討していくため、クオリティの高いアウトプットを実現できます。
もう一つの特徴は、複合施設を運営している点です。飲食店はお店に来てくれたお客様からの売り上げが収益のほとんどを占める一方で収益が不安定、シェアハウスは売り上げの上限が決まっていますが安定して利益を得られる特徴があります。これら二つを掛け合わせることで、最低限の収益を得ながら、飲食店で利幅を取ることができます。両者の旨味をどちらも得ることができるのです。
また、複合施設では管理コストの軽減も期待できます。実際に「b.e.park」ではバーテンダーがシェアハウスの管理人も務めています。一般的にシェアハウスの管理人は、1日中ハウスにいる必要がなく、仕事量もそこまで多くありません。飲食店の運営を1人が担当することで、効率的な運営ができることも複合施設ならではのメリットです。
ーー複合施設は最低限の利益を確保しながら効率的にビジネスを展開できるということですね。
はい。また複合施設にこだわる理由はもう一つあります。
前職で飲食店のマーケティングを行なっていたときに、ビジネスモデルが厳しいのに飲食店をやっている人が多いことに疑問を抱いていました。その後、利益を得ることを目的にせず、自分のお店を経営する夢を持つ人が多いことを知ったんです。
数字にこだわらず自分の人生を幸せにすることに時間を使える人の姿を見て、素直に素敵だなと思いました。一方で、彼らも生活のためには売上を追わなければいけません。売上を安定的に得ながらも、自分のやりたいことを発揮できる場所が複合施設であると考えています。
ーー類似サービスとの差別化点を教えてください。
不動産の紹介からマーケティングまでを一つの会社で行っている点、店舗ビジネスでの複業は珍しい複合施設を運営している点で差別化できると考えています。
私の専門分野であるマーケティング業界では情報感度の高い人が多く、複業を許す文化が醸成されています。私自身も複業をしたことによって視野が広がり、その価値を実感しました。一方で、店舗ビジネスではまだ複業を許す文化がなく、選択肢にありません。しかし、今後店舗ビジネスにも複業の流れが来るのではないかと考えております。
例えば、繁盛している飲食店は他の飲食店のマーケティングコンサルタントができる余地があるのではないでしょうか。 店舗ビジネスでの複業化の波を作っていきたいです。
ーーなぜこのサービスを始めようとしたのですか?
使われていない物件を賑わいをもって再生したいという想いを持った不動産関係に強い代表荻野と、デザインを専門とする高野が出会い、約2年前にスペリアルが立ち上げられました。そこに、代表と偶然出会った当時の私がシェアハウスの住人として加わり、住みながら運営にも関わり始め法人化のタイミングで共同経営することになりました。
コアメンバー以外でもサブワークとして色々な分野のプロに関わってもらっています。
ーーこのサービスの今後は?
今は自社運営で物件を活用し、業務委託でお店に立つ人を雇っていますが、これからは個別の課題ごとの対応も行なっていきます。例えば、不動産を仕入れることだけをやることもあれば、集客のお手伝いだけをすることもあるでしょう。課題ごとに窓口を開くことでサポートできる範囲が広がります。
また、自社運営で開業した物件は両方とも瞬く間に黒字化に成功したので、自分たちの事業の将来性には確信を持っています。夢を持つ方、スペースの活用方法がわからずに困っている方の双方を幸せにできる複合施設をもっと世の中に広げていきたいです。
ーー目指す世界観を教えてください。
使われてない物件があること、やりたいことがあるけど形にできていないことなど、「もったいない」状況がなくなる社会を目指しています。
既存のサービスを細分化することで対応できる範囲を広げ、最終的に店舗ビジネスをやっている方々にとって複業が身近になり、楽しく働ける人が増えてほしいです。また、会社員が肌に合わなかった人に対して、転職する時の選択肢の一つに店舗ビジネスを増やしたいという願望もあります。挑戦者の選択肢を増やし、店舗ビジネスがもっと安定して楽しい職業になるようにアプローチしていきたいです。
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