最近、映像タイプの娯楽の選択肢は増えている。テレビ番組はもちろん、動画配信サービスによるオリジナルコンテンツや、テレビ番組の見逃し配信など、ネットを通じてコンテンツを楽しむ人も多いだろう。
そんな中、テレビ番組とネット配信の垣根を撤廃し、誰もがいつでもどこでも面白い動画を楽しめる社会の実現に向けて動き出しているサービスがある。
株式会社Enlytが提供する「TVplum(ティービープラム)」だ。このサービスは、これまで開発や導入が難しいとされていたテレビ番組のネット配信を、日本初のSaaS型OTTを用いることによって簡単に開発コストをかけることなく実現できる全く新しい動画配信システムである。また、ネット配信の大きなの課題であった収益性の確保も、SSAI広告という視聴者の閲覧履歴に合わせたターゲティング広告の導入によって可能にしている。
代表取締役のTRUONG DINH HOANG(チュオン ディン ホアン)さんは、ベトナムのIT開発の会社を成功させた経歴を持ち、自社でのサービス開発を通じてイケてるコンテンツを世の中に展開し、DXを推進したいとの思いから同社を立ち上げた。サービスの提供を通じて、誰もが時間やコストをかけずに動画ビジネスを実現できる社会を目指すそうだ。
「TVplum」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社Enlyt 代表取締役
TRUONG DINH HOANG(チュオン ディン ホアン)
ーー「TVplum」を一言でいうとどんなサービスでしょうか?
テレビ番組をネット配信することができる、新しい動画配信システムです。
ーーサービスの特徴を教えてください。
日本国内初のOTTを使ったSaaS型の配信システムであることです。OTTとは、「Over The Top」の略で、通信業者やインターネット・サービス・プロバイダーに頼ることなく、インターネットを通じて提供されるコンテンツサービスです。これまで、日本ではOTT自体も少なく、OTTを展開しているサービスは自社でのコンテンツを配信することに限られていました。しかし、弊社のサービスではこのOTTをどんな人でもアカウントを発行するだけで使うことができます。これにより、ネット配信のこれまでの敷居の高さを引き下げる効果があると考えております。
ーーアカウントを発行するだけで誰でもネット配信をすることが可能になるのですね。
はい。アカウントを発行すれば、その日から使うことができます。また、専用のモバイルアプリも提供しているので、モバイルアプリを作って提供することが可能です。ワンストップで管理画面からモバイルアプリまで全て提供することができる手軽さがあります。
ーー想定するターゲットを教えてください。
ターゲットは3タイプあります。
1つは、テレビ局です。見逃し配信など、テレビですでに流れたコンテンツをネット上で試聴することはできますが、リアルタイムで試聴することができるテレビコンテンツは限られています。しかしTVplumではそれを簡単に提供することができます。
2つ目は、コンテンツを持っていて、 YouTube などの既存のプラットフォームに依存している人や企業です。既存のプラットフォームを利用していると他のコンテンツに埋もれてしまって、ターゲット視聴者にリーチしにくいのが難点です。TVplumでは、自社での動画サービス展開を実現し、会社やクリエイター独自の動画プラットフォーム作りをサポートします。
3つ目は、既に YouTube などで数十万の会員をお持ちの方やYouTuberです。すでにファンが多数いるインフルエンサーは、ファンを囲い込んで会員基盤を作ることが更なる飛躍への一歩となります。TVplumでは、配信される動画視聴に特化した専用アプリも用意しているので、ファンを囲い込み、ビジネス展開の可能性を広めることが期待できます。テレビ試聴、VOD試聴、サブスクリプション機能などの基本的な機能は最初から用意されています。お客様のご要望に応じて、カスタマイズも可能です。
ーーテレビ番組をネット配信することはやはり難しいことなのでしょうか。
通常、テレビ番組をネット配信することは多くの手間やコストがかかります。一から開発しようとすると2〜3億円は下らないでしょう。
しかし、弊社では、従来よりもかなり安い値段でのサービス提供を実現しています。その理由は、弊社は以前、アメリカのテレビ局でOTTサービスを構築した経験があるからです。TVplumはそれを日本版にカスタマイズしたものです。あらかじめノウハウがあったため低コストで開発できました。
ーーネット配信で使われる広告も特殊なものだそうですね。
SSAI広告 という技術を導入しております。これは、パーソナライズされたターゲティング広告が動画中に流れる広告配信技術です。従来の動画配信の広告は、視聴者の興味関心のない広告が流れてくることが多く、あまり見てもらえないという問題点がありました。
しかし、このSSAI技術では、お客様の視聴データを基にしたターゲティング広告をネットで配信することができます。これにより、お客様に親和性が高い広告を流すことが可能になり、コンバージョン率を高く保つことで広告による収益化が期待できます。
ーーその他の機能はありますか。
サブスクリプションビジネスを今すぐ始めたい人向けの VOD配信も1ストップで提供しています。
自社のブランディングや自社のファンを持っていて、自分たち専用のチャンネルを作りたい場合や、既存の動画配信サービスに依存したくない場合にオススメなサービスです。コンテンツさえあれば開発コストをかけずに簡単に実現できるサービスとなっております。
ーー競合サービスはありますか?それとの差別化ポイントは何ですか?
従来の配信システムと比べ、すぐに導入できることが差別ポイントです。
動画配信という意味では、企業向けに動画配信の仕組みを提供しているものが競合サービスにあたります。
ーー最近よく見る見逃し配信と、TVplumの違いは何ですか?
見逃し配信は VODであり、 テレビ番組のようなリニア放送とは配信の性質が異なります。TVplumはVODに加えて、リニア放送ができる特徴があります。
ーー株式会社Enlytを起業する前はどのようなことをされていたのですか。
2002年に日本に留学をし、日本語とITを勉強しました。その後、2014年からベトナムのダナンでソフトウェア開発の会社のAsian Techを6年経営しました。創業5人から始めて、6年間で350人まで拡大しました。しかし、自社でのサービス開発を通じて世の中にイケてるサービスを展開していきたいという想いから、昨年の頭をもってその会社を退社し、株式会社Enlytを創業しました。
Enlytは時代の変化に適用しながら世の中に新たな価値やサービスを自ら企画・開発・展開するテック集団であり、DXの実現はもちろんAIコンサルティングや自社AIサービス開発を通じてAIエンジニア育成して世の中に少しでも貢献したいです。
ーーTVplumの開発に至った経緯を教えてください。
私の知り合いが経営しているアメリカのテレビ局で、テレビのネット配信をしてみたいもののうまくできないという課題を引き受けたことがきっかけです。顧客が抱える問題を解決し、アメリカで先にローンチをして実績できたため、次は日本でも展開してみようということになり、TVplumの開発に至りました。
TVplumを通じて、日本のテレビ業界や動画関係のDXを推進していきたいという想いがあります。
ーー開発の中で大変だったことはありましたか?
動画や広告を扱うプロダクトは開発が難しいので、開発の方法を工夫しました。弊社はアジャイル型の開発体制を採用したことで、実証実験を繰り返して出てきた課題に対して柔軟に対応することができました。それがTVplumの開発の成功につながったのだと思います。
ーーこのサービスの今後は?
3年以内に200社を導入することが目標です。テレビに限らず、動画を切り口としてサービス展開をしていきたいです。
最初はコンテンツを持っている企業やYouTuberを中心のターゲットとして、VODの動画配信サービスとファン向けのアプリ展開という方向性でDXを推進していく予定です。実績がある程度できたらテレビ局にアプローチしていきます。
ーー目指す世界観を教えてください。
我々のミッションは、時代の変化に柔軟に対応したサービスを作り、新しい価値を作っていくことです。
TVplumを通して、自社での動画サービスを展開していきたい人に向けて、手軽ですぐにサービス導入をすることができる世界を目指しています。
動画ビジネスを始めるにあたって時間やコストをかけずに実現できる社会を作っていきたいですね。
「TVplum」が気になった方は、以下のリンクまで。
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