株式会社イースマイリーが提供する「ワオ!クエスト」は、絵本を起点として親子で楽しく社会課題について学ぶことができるサービスだ。
代表取締役の矢澤修さんは、子育てや福祉の問題をビジネスの力で解決しようとサービスを立ち上げた。サービスの提供を通じて、「ソーシャルエコシステム」をつくっていくそうだ。
「ワオ!クエスト」とはどんなサービスなのか。詳しく見ていこう。
株式会社イースマイリー 代表取締役
矢澤 修
ーー「ワオ!クエスト」を一言でいうと?
親子で楽しく社会を探究して自ら考え行動していく探検力を育む社会探検プログラムです。
ーーサービスについて具体的に教えてください。
絵本とオンラインのワークショップをベースとした学びのプログラムです。2ヶ月がワンセットで、初月に社会をテーマとした絵本が1冊届き、その絵本を起点とした体験型のワークショップが翌月行われるというサービスの提供を考えています。
サービスの本格的な提供はこれからで、現在はクラウドファンディングを通して体験版プログラムを提供しております。※2021年4月2日(金) 23:59まで
ーーサービスの利用者について教えてください。
対象は、小学校低学年前後のお子様を育てていらっしゃるご家族です。私の子育ての経験から絵本の物語を理解できるようになるのは5歳くらいからだと思うので、5歳くらいの子供に理解してもらえる内容を目指しています。
ーー利用者の利用方法を教えてください。
絵本は利用者様のご自宅に郵送され、オンラインのワークショップはzoom等を予定しています。パソコンやタブレットなどズームにアクセスできる環境があれば誰でもお使い頂けるようなサービス設計です。
ーー絵本は具体的にどのような内容ですか?
社会課題を楽しく学べる物語にしたものです。
例えば、うさぎさんともぐらさんが登場する、こんなお話を予定しています。
地上で遊ぶうさぎさんと、遊びたいけど太陽が眩しくて地上に出られないもぐらさん。この2匹それぞれが、あることをキッカケに、自分にとって当たり前の環境が、誰かの障害(生きづらさ)になっているということに気づく。その障害を取り除くことで、自分にとってもより心地よい環境になったというお話。
これは、障害のある方の支援をしている団体さんとつくっているお話で、障害のある人に対して、周りの人がその人の立場になってものを考え、サポートできる環境をつくっていくことの大切さをわかりやすく伝えられるような物語にしました。障害とは心身機能の制約ではなく、社会が制約を作り出している。という「障害の社会モデル」という考え方を子供達にもわかりやすい物語に置き換えることで、社会問題をイメージしやすく、身近に感じてもらえるようになる。そのような絵本をつくってまいります。
また、伝えたいメッセージだけではなく、社会のさまざまな側面を物語には反映させるようにしています。全部が答えを示すというより、なぜ地上はこんなに暑くなってしまうのか、もぐらはなぜ地下で生活しているのか、など物語から派生して子供の興味を引き出せたらと考えています。この話を通して、自分の周りにこういう社会問題があるのだと身近に感じてもらい、自分との接点はなんだったのだろうと考えてもらえたら、おのずと興味が湧くのではないでしょうか。
ーー利用するメリットを教えてください。
社会(世の中)を知ることが出来るという点です。学校や習い事などで育んでいくような正解を学ぶ「学問」ではなく、「社会」について探求し、自ら課題を見つけ、考え、行動していく「探検力」を育むための学びは、なかなか無いと感じています。なるべく幼少期からさまざまな社会と繋がり、探検力を育むことで、発想力や想像力を養い、生きやすい世の中を自分自身で切り開いていく力を身に着けられるというメリットを提供したいと考えています。
ーークラウドファンディングの利用を決めた理由を教えてください。
共感者集めという視点でクラウドファンディングの利用を決めました。今回のクラウドファンディングは資金調達より体験してもらう会員さんを集めるという目的で行っているんです。目標の会員数としてクラウドファンディングも含めて正式オープンまで体験人数を1000人にしたいと考えています。
クラウドファンディングの特徴として共感をつくりそこからみんなにシェアしてもらって、自分でリーチができない方々まで思いを伝えられるという特徴があると思います。クラウドファンディングを使うのは2度目で、1度目のときにその事を実感してすごいプラットフォームだなと思ったので、今回も利用することにしました。
ーー競合サービスはありますか?
経済や金融をまなんだり、虫取りをしたり、色々な子供の知的好奇心を引き出すような学びを提供している会社があり、とても参考にさせてもらっています。
ーー競合サービスとの差別化点を教えてください。
社会の今の状況をテーマにした学びをつくっていくというのは私たちのユニークなポイントだと思います。また、絵本を起点とした体験づくりは他にあまりないでしょう。イースマイリーは絵本をつくってきた背景があるので、そこを自分たちの強みとして提供したいです。
ーー起業した経緯を教えてください。
イースマイリーを起業する前は、上場企業の子会社の代表として、マーケティング支援事業を展開していました。その仕事を退任してイースマイリーを起業した経緯としては、障害を持つ兄妹がいるということが原体験として大きかったと思います。自分の生い立ちや昔からの体験の中で、自分に出来ることがあるのではないかと学生の頃から思っていたんです。しかし福祉の領域は大きな変化がなく、福祉の感覚をもったまま福祉の領域にはいってしまうと視野が広がらないのではないかと考え、初めはIT業界に飛び込みました。その後、自分のライフワークとしてずっとやりたかった子育てや福祉をビジネスの力で解決する取り組みに挑戦しようとイースマイリーを立ち上げたんです。
ーーなぜこのサービスを始めようとしたのですか?
イースマイリーは福祉支援と子育て支援のソーシャルビジネスを生業としている会社です。
福祉支援では、障害難病のある当事者や家族のためのコミュニティづくりや、その人が持つ強みを見つけ、世の中への発信を伴走していくプロデュース活動をしています。
子育て支援では、5年間絵本をつくっており、絵本の読み聞かせの動画をYouTubeチャンネル「きっずちゅーぶ」で公開しています。著作権が切れた昔話作品もありますが、大半はオリジナルストーリーで今までで600作品くらいの絵本作品を制作・公開してきました。現在YouTubeチャンネルの登録者数が3.5万人おり、月間100万再生以上絵本を見ていただいています。さらに昨年、出版機能を自社で持って紙の絵本を提供できるようになったんです。
出版事業も始めて手に取れるものも提供できるようになった時に、このアセットを活用してソーシャル領域で活躍されている方も巻き込み、子供達に向けてもっと大切な体験を提供をしたいと考え、ワオ!クエストの構想が生まれました。
ーーこのサービスの今後は?
このサービスの目指しているところは、自分の生活と社会の繋がりについて楽しみながら学ぶ機会を提供することです。クラウドファンディングを始めて、そこに行きつくまでの道のりはだ容易くないと体感しているのですが、まずは社会を学ぶという入口よりもプログラム自体が楽しそう、子供に学ばせたいと思ってもらうことがスタートだと考えています。その表現がまだ上手くできていないと思うので、体験版として提供しながらとてもいいプログラムだったと思って貰えるようなサービスにしていきたいです。
サービス自体は絵本を起点としていますが、絵本だけがツールでは無いと考えています。年齢が上がってくると、漫画やボードゲームやカードゲームなど楽しく学ぶための手段の拡張はできるのではないでしょうか。小学校の低学年だけではなくて小学校高学年や中学生になっても社会と気軽に繋がれるようなサービスつくりをしていきたいです。
ーー目指す世界観を教えてください。
ワオ!クエストは社会と参加者を繋げるというサービス側の視点もありますが、もう一つ、非営利団体をはじめとする社会をより良くするために活動されている団体さんを支援するという目的があるんです。
ソーシャルの領域の団体には、認知と共感と資金という共通する3つの課題があります。その課題を解決するために、さまざまな団体と、それぞれの強みを活かしてワオ!クエストのプログラムを共創し、提供していくことで、世の中に必要な取り組みが認知され、共感が生まれ、支援が集まっていくような「ソーシャルエコシステム」をつくりたいです。
ワオ!クエストがソーシャル領域に興味関心の高い方をあつめて楽しくプログラム体験をしてもらうプラットフォームとなれば、さまざまなパートナーさんと共に、世の中の課題について知ってもらえるのではないかと思っています。また、ワオ!クエストは利用料の10パーセントをNPO団体などに寄付する仕組みとなっているので、サービスを知って共感してもらい、活動を推進する資金獲得もできる仕組みをつくります。
このような取り組みを通して、イースマイリーのコーポレートビジョンである「みんなと笑顔をつくる」を体現するサービスづくりや活動を、これからも積極的に推進しています。
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