23株式会社は、九州大学発のベンチャー企業で、福岡県を中心とした地方の課題を学生クリエイターが解決するクリエイティブ集団だ。現在メンバーは40名で、そのほとんどが在学中の大学生で構成されている。
代表者の清水淳史さんは、Z世代の視点やクリエイターの力を必要としている地方の企業と、コロナ禍で独学でスキルを身につけたものの、社会に還元する機会のない学生クリエイターの存在を知り、両者をつなげて地方の課題を地方の学生で解決したいとの思いから、同社を立ち上げた。サービスの提供を通じて、同社が地方の課題を地元の若者が解決していき、若手クリエイターの登竜門となることを目標にしている。
23株式会社とはどんな企業なのか。詳しく見ていこう。
23株式会社 代表
清水淳史
ーー「23株式会社」を一言でいうと?
地域の課題を解決する、学生クリエイティブ集団です。
九州大学発のベンチャー企業で、パートナーとなる企業さんと共同でコンテンツの制作や開発をしています。40名の学生クリエイターが所属しており、平均年齢は21歳です。メンバーのほとんどは九州大学の学生ですが、中には九州工業大学や長崎大学の学生もいます。2020年の9月に会社を設立して、約8ヶ月が経過しました。
ーー学生クリエイターとはどんなスキルを持った方々なのでしょうか。
メンバーの半分はエンジニアで、残りはデザイナーと映像クリエイターです。エンジニアには、webサイトの制作やアプリの開発などをするソフトウェアのエンジニアや、設計をして実際の物を作るハードウェアのエンジニアがいます。
ーー今までどんなお仕事をされましたか?
UI/UXデザイン、Webサイト開設、アプリの開発と動画制作、その他にも様々なクリエイティブを手がけてきました。具体的な事例として、いきいき唐津さんという佐賀県唐津市のまちづくり会社のオンラインイベントの企画・運営が挙げられます。学生さんに地方で働くことの良さを発信するイベントを行いました。
また、23の拠点である福岡の、Fukuoka Growth Nextで行われたスタートアップカンファレンス「CALLING」というイベントのクリエイティブ全般を担ったこともあります。Webサイトの設計から、メインビジュアルの制作まで担当しました。
RKB毎日放送という地方テレビ局のアナウンサーを起用して、Youtubeでコンテンツ発信を行う企画もあります。Youtubeのプラットフォームで配信するため、テレビで発信するものとは少し違う見せ方を模索しながら、私たち若い世代の視点とスキルを活かして、共同で企画、撮影、編集を行いました。
ーー仕事はどのように決まっていくのでしょうか?
メンバーの繋がりや、Webサイトからお問い合わせをいただくことが多いです。まずはどういった課題があるかをヒアリングし、それに対する企画や解決策を提示して一緒に企業の課題を解決していきます。
ーー顧客は地方の企業がメインですか?どんな悩みを抱えていますか?
企業や大学の他にも、地方自治体から要望をいただいて、協力をすることもあります。基本的にお話をいただいたら、どこでもどのような形でも対応できるようにしています。
よくあるのは、「Z世代に対して発信をしていきたいけれども、どうすれば今抱えている課題を解決することができるか」というご相談です。「若者に刺さるようなコンテンツを作りたい」という声も多いですね。
私たちの若い視点を頼りにしていただくような依頼が多いです。
ーー類似する企業はありますか?
広告代理店や、ITシステムの受託開発を請け負うベンチャー企業が類似する企業に当たると思います。
その中で私たちの強みは、Z世代の目線で課題に対してアプローチできるところです。アイデア発想の部分から差別化を図れていると考えています。
また、若者の機動力も強みの一つです。現在メンバーは40名いるので、力を合わせればどんな課題でも大体解決できます。課題が何かわからないという状態でも、相談していただければ40人の力を総動員して何かしらのアウトプットをお出ししたいなと思っています。
ーー清水さんは23株式会社を起業する前は何をされていたのですか?
前職はドローンのスタートアップで取締役COOとして資金調達を担当したり、ドローン物流の実証実験を全国色々なところでやっていました。中学生のときから起業を目指していましたね。20歳の時に1回目の起業を経験しました。現在は24歳で、23株式会社の立ち上げは2回目の起業です。
ーーなぜ23を起業したのですか?
学生クリエイターや若い学生たちの可能性を生かしたいと思ったからです。僕は今福岡で生活をしていますが、前職では東京で主に活動していました。
都市と地方を比較したときに、「都市に比べて地方はまだまだクリエイティブの力が行き届いていないのではないか」と考えるようになったのです。地方にも本当に魅力的な場所はたくさんあるのですが、それらをうまく発信する方法、すなわちクリエイティブが足りていないことによって、それらの魅力がまだ届けきれていないと感じています。
この課題と学生クリエイターのポテンシャルを生かすことの2つをマッチングすることが、今の社会に求められていることだなと思い、起業を決めました。
ーーどのようにして学生クリエイターを40名まで増やしたのですか?
僕が大学時代から関わりのあった周りの学生クリエイターに声をかけて、23が始まりました。
U25世代のみでクリエイティブを生んでいる企業は全国においても珍しく、特に福岡においてはありませんでした。また、このコロナの状況で大学の授業のオンライン化が進み、独学で自分たちのスキルを醸成する学生が増えています。ただ、それを社会に試す場がないという問題も同時にあったんです。
23を立ち上げ、学生クリエイターと社会とのつながりを僕達が手がけることによって、昨年9月の設立当初は5人ほどだったメンバーの輪も、自然と広がっていきました。
ーー大学生とクリエイターは両立可能なのでしょうか。
僕も週8コマの大学の授業と研究室とこの仕事を両立しているので、できなくはないと思います。また、コロナによるオンライン授業化により、例えば今まで物理的に大学に通っていた1時間を、このような社会に生かす場として時間を取れるようになったのは大きな変化だと思います。
メンバーには休学をしている人もほぼいないので、みんな自分の時間の中でうまくやりくりしながらやっています。
ーー組織を運営する上で心がけていることはありますか?
必要以上に一つひとつのプロジェクトに首を突っ込まないことは心がけています。クリエイターの方達は僕よりも確実に何か秀でているものがあるんですね。なのでそれぞれの領域について僕がとやかく言う必要はないなと思っています。
ーーこのサービスの今後は?
地方の課題を現地の若者が課題解決するという23のモデルは全国の地方で活用できると思うので、まずはこのモデルを横展開していくのが最初のミッションになると思います。
それに先駆けて、すでに長崎にも拠点を作って、長崎大学のメンバーにも入ってもらっています。23のムーブメントを全国に広げていきたいです。
それと同時に、若手クリエイターの登竜門として23が機能していけばいいなと思っています。クリエイターの人数をどんどん増やしていき、クリエイターたちがそれぞれのスキルを活かしてそれぞれの地で課題解決をしていくプラットフォームにしたいです。
ーー地方の課題をそこの地元の学生で解決する意味はどんなところにあるのでしょうか。
実際に足を運んで、目で見て、匂いを嗅がないとわからないことってたくさんありますよね。地元の学生クリエイターはその土地に住んでいることを1つの強みにできると思っています。これだけオンラインが進んできていても、やはり最後はオフラインが大事になるので。
ーー最後に一言お願いします。
私たちと共に活動をしてくださる学生クリエイターの方々、地方で課題を抱えている企業の方、今回のように我々の活動を取り上げてくれるメディアの方々に届くよう、さらに活動を広げていきたいです!
ーーありがとうございました!
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