Kenichi Kono
代表取締役CEO 医師
脳血管内治療指導医、脳神経外科専門医、脳卒中専門医、グロービスMBA
ーどのようなサービスか教えてください。
一言で言うと「手術支援の脳血管内治療に特化したAI」です。私は医師でもあるのですが、16年間の専門医師実体験にもとづいてサービス開発をしています。現在、脳梗塞、くも膜下出血、など血管の中から治すカテーテル手術に対応したサービスを予定しています。
ーどのように利用するのでしょうか。
車のバック中に警告を出す「バックモニターシステム」というのがありますが、あのようなイメージです。医師は手術中にたくさんの画面の情報を見ながら執刀しています。たくさんの情報をみなければいけないのですが、見落とすと事故につながるような情報もあるのです。我々のサービスはこの致命的な見落としにアラートを出すシステムです。
ーサービスを利用する顧客について教えてください。
脳血管内治療を行う医師全員をターゲットにしていますが、まだ手術環境に慣れていない若手の方のほうが使ってもらいやすいと思っています。
ー競合について教えてください。
我々が開発しているサービスは未だ世界にはないサービスです。治療現場では掛け声や指差し確認などと、人の努力に依存しており、それによる事故が起きています。学会から勧告がでているほどです。しかし、「どんなに注意しても誰にでも起こるもの」であり、状況は変わりません。人によって免れない事故をAIで代替できれば良いと思っています。
ー起業したきっかけを教えてください。
16年間、脳神経外科医師として、開頭手術とカテーテル手術をやっていました。その中で、絶えない医療事故やヒヤリハットをどうにかAIを活用して防ぐことができないかと考えたのが起業のきっかけです。もともと流体解析をやっていたこともあって、ディープラーニングも自分で触っていました。そして、医師兼エンジニアという感じで創業しました。また、ビジネスの知識はMBAで得たのですが、経営の実務経験がありませんでした。そのため、ビジネス経験の豊富な金子(代表取締役COO、共同創業者)と出会えたことも大きな原動力になりました。
ーなぜ医療にAIが必要だと感じたのですか。
医療現場では、実際に事故は起こってないとしてもヒヤリとした体験を何度かしてきました。それは自分だけではなく、まわりでもそういうことが起きています。ディープラーニングが人間の目を超えたということを考えると、人の手に負えないほどの情報量が存在している時に、AIがその足りない間を埋めてくれるのではないかと考えています。医療現場では画面だけでなく、患者の様子など様々なことに気を配らなくてはいけません。そのため、術者も助手も常に同じ場所を見続けることはできません。一方で、AIであれば目を離すということはありません。そして、人と異なり疲れを知りません。 今こそAIが医療現場にも活用できる時だと思ったのです。
ー今後のサービスの展望について教えてください。
サービスはまだ開発中なので、まずはリリースすることです。早くても2023年ということになると思いますが。そのあとはプラットフォームを構築したいです。動画から、手技のスコアリング評価をして、教育に生かしたりフィードバックに使ったりしていくことを目指しています。
手術の技術を評価できるので、現在の医師の教育はほとんどがOJT(現場)教育ですが、今後は若い医師へのOJT教育の代わりに使ってもらうようなこともできます。実現には多くの高い壁がありますが、そのビジョンに向けて日々試行錯誤しています。
ーその先の展望はありますか?
手術に関しての安全性を高める、人間が操作しない手術自動ロボットを作って、医療技術をより高め、世界中のより多くの患者さんを救っていきたいです。人間の持っている技能を人から人だけでなく、テクノロジーを用いてよりわかりやすく、正確に伝承していきたいですね。
ー手術支援の脳血管内治療に特化したAI開発「iMed Technologies」の今後に注目ですね。
編集後記
取材担当大野
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