歓迎会、慰労会、送別会…。仲間と集まる時には食事を伴うことが多い。人数の把握から店の予約までを任せられるのが幹事の役目だ。
幹事は会の企画や店選び、人数や主旨を踏まえての店選びなど、多くのことをしなければならない。しかし幹事に対して報酬が払われることはほぼない。
そこで、飲食店が集客をしてくれた幹事に謝礼として報酬を支払うサービスが登場した。株式会社YUKARIのfood back(フードバック)だ。
food backでは幹事がマナーよく飲食店を利用すればその対価にあった報酬が支払われるようになっている。飲食店からの評価や実績が高い幹事は高い報酬を支払われるのだ。
しかし、マナーが悪い幹事は報酬がもらえない、または飲食店の予約が取りづらくなる。そのため、飲食店側がマナーの悪い利用客が来店するのを未然に防ぐことができる。
今回は、株式会社YUKARIのfood backを詳しく見ていこう。
渡部久美子
1982年愛媛県生まれ。
父親の仕事の関係から、小学校5校と中学校2校に通う経験をし、高校・大学では、弓道やアート活動に勤しむ。
大学卒業後、ソフトバンク(旧:ソフトバンクBB株式会社)入社し、10年目に独立。
起業塾シマムラジュクでの経験を経て、株式会社YUKARIの代表取締役社長に就任。
プライベートでは、忍者とレンジャーのような息子2人と、会社設立と同月に第3子を出産し、仕事と家族5人の時間を両立しながら、日々をエンターテイメントのように楽しんでいる。
— food backについて教えてください
一言で言えば、飲食店と幹事をマッチングするサービスです。
友達や仲間が集まる時、お食事会や飲み会を通して親睦を深める機会は多いですよね。その時に企画者として一役買うのが幹事です。食事会の人数を把握したり、主旨や予算にあった飲食店を予約したりと幹事の仕事はいろいろあります。しかし、幹事に対して報酬が支払われることはほとんどありません。
そこで、food backでは飲食店側が幹事に対してプロモーション料を支払うことで、幹事の仕事量に見合った報酬を得ることができます。
— 具体的にはどのように利用するのですか?
予約を取るまでは、従来の飲食店予約サービスと同じです。幹事がお店を選んで人数やコースを選択します。
食事会が終わった後、幹事は、食事会の内容をfood backに登録します。
飲食店側は、食事会の内容を承認し、集客をしてくれた謝礼としてプロモーション料を幹事に支払います。
幹事はプロモーション料を即時現金で受け取ることもできますし、指定された銀行、コンビニ、ギフト券などでの受け取りも可能です。
— 強みはありますか?
近年、飲食業界では、飲食店の利用方法や無断キャンセルなどマナーの悪い利用者がメディアに取り上げられています。ほとんどの場合、利用者側に非があるにもかかわらず、最終的に責任を取るのは飲食店です。
food backでは、利用者のマナーを飲食店側に評価してもらうことで、飲食店が被るリスクを削減できます。
— もともとは何をされていたんですか?
もともと新卒で大手企業に就職しました。約10年勤め、結婚と出産を機に退職。新たなステージを目指して起業塾シマムラジュクで主宰の嶋村吉洋さんから組織運営を学びました。
起業の勉強をして気づいたのが、自分で企画することの大切さです。企画をすることは、まだ体験したことのないことや出会ったことのない人たちとの縁を作ること、そして企画をすることで、事業を立ち上げる上での基盤となる力を身につけることができるという事です。
また、私の身の回りにもイベントを企画して生計を立てている人や幹事を仕事としている人が多く、その人たちとの出会いも「企画すること」の魅力を感じたきっかけの一つです。
そこで、企画する人たちを支援するサービスを作りたいと思い、株式会社YUKARIを立ち上げました。
— 飲食業に注目したきっかけはなんですか?
一言で言えば、食のパワーに惹かれたのがきっかけです。
もともと、私自身が食事があまり好きではなく、できるだけ時短で栄養が取れればいいぐらいに思っていました。
でも、イベント企画に注目して、私もさまざまなイベントに参加してみたところ、食事と一緒に企画されていることが本当に多い。
そのうち、他人と一緒に食事をすることが楽しいと感じ始めたんです。食が嫌いだった私が食を楽しむことを知った。そこで、食のパワーに気づき、飲食業に注目し始めました。
楽しく食事をする場を作ることで、食事がより豊かになる。この価値観をもっと広めたいと思いfood backを作りました。
—企画している新しい機能はありますか?
飲食店は、食事会の実施回数やキャンセル回数などを、food back独自の信用スコアで評価できるようになります。
例えば、何度も無断キャンセルを繰り返している幹事がいるとします。その幹事が他の飲食店を予約する時に、飲食店はその幹事のスコアを元に予約受付拒否することが可能です。
逆に、マナーを守って飲食店から好感を持たれるような食事会を開催すれば、評価は上がります。結果、飲食店からの信頼を得ることができ、報酬にも反映されます。
— food back上のスコアを参照することによって利用者によって引き起こされるトラブルを未然に回避できるんですね。
そうですね。従来のグルメサイトでは、利用者が飲食店の口コミや評価を見ることはできますが、逆はないですよね。
そこで、food backでは飲食店側も利用者を選ぶことができるサービスにする予定です。今期中の導入を予定していますので、ご期待ください!
— 将来のビジョンについて教えてください
将来的にはfood backの他にも、食産業を盛り上げていくサービスを幅広く展開していく予定です。
特に注目しているのは食育です。食育と聞くと、栄養素や添加物など栄養学的なイメージをすることが多いと思います。しかし、私にとって食育は、食に関わる人を育成していくことなんです。
私には子供が3人いますが、食事が好きな子もいれば嫌いな子もいます。そこで、好きな映画を見ながらの食事や、たまにはテレビを消して今日あったことを話しながらの食事など、楽しいことと食事を組み合わせるようにしました。
すると、食事をする時間は楽しいことをする時間という概念が自然と子供たちの中に生まれたのです。食事をすることが嫌いな子でも食に向き合うきっかけになり、楽しむことができるようになりました。
「楽しく食事をする場を作る人を育てていく。食事を楽しむことによって育っていく。」そんな価値観をもっと広めていきたいと思います。
— ミッションを教えてください
私たちのミッションは世界平和です。他人に喜ばれることをしていこうとする人が育成される世の中を創っていくことが、私たちができる世界平和の実現だと考えています。
そして、働き方や生き方のロールモデルとなること。
私の会社は、私が第3子を出産した1週間後に設立しました。私自身が、母であり、起業家でもあることで、創業を予定されている方や母親になった方の創業の勇気や希望になれたらいいな、と思いながら日々仕事に励んでいます。
「私にできるんだろうか?」という不安は誰しもが持っているんじゃないでしょうか。しかし、ロールモデルがいることで、不可能が可能であるという認識が生まれると私は思っていて。不安に思っていたことが、勇気と目標に変わり、そして新しい生き方を生み出す。そんない価値観を社会に広めていきたいと思います。
人々が自分自身の生き方に向き合い、そして目指し、実現する社会を創っていく事を、自分の生き方と事業を通して実現していくことが、私たちのミッションです。
これからも、株式会社YUKARIでの事業を通して、人々と社会に貢献するサービスを展開して参ります。
株式会社YUKARIのfood backが気になった人はサイトを見てほしい。
渡部さんのnoteはこちらから。
編集後記
取材担当廣瀬
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