パソコン、スマートフォン、カメラなど、私たちの日常は電子機器で溢れている。そんな電子機器の製造過程で欠かせないのが検査だ。
現在、多くのメーカーが微細な電子機器の埃や傷の確認を人による2次検査で行っている。
しかし、人による作業は時間もコストも膨大だ。
そこで、高度な画像解析技術とAIの検査技術を融合した技術が登場した。株式会社IDEAAIのiVSだ。
iVSの技術を使えば、人件費や時間を大幅に削減でき、欠陥商品の欠陥種類の識別まで細かく行うことができる。
株式会社IDEAAIのiVSを詳しく見ていこう。
小倉明宏
— このサービスについて教えてください
iVSという独自の技術を使い、外観検査と呼ばれる電子機器の検査を効率化しています。iVSは独自のAIと画像処理技術を融合し動画・画像から特定の形状を高い精度で分類・検出する技術です。
現在、検査装置の欠陥や汚れを検出するのは、人による作業であることがほとんどです。しかし、熟練作業員と新しい作業員の能力や経験には差があります。また、人による確認作業は、膨大な時間と人件費がかかってしまい、非効率です。
そこで、iVSを用いる事により、熟練作業員と同じくらいの精度での傷や汚れの検出ができます。また、AIによる作業なので、時間と人件費の大幅な削減も実現しました。
— 強みはなんですか
高度な画像処理技術とAI技術の融合による高精度な微細欠陥の検出です。従来のAI技術だと、欠陥があることはわかっても、その欠陥が傷なのか埃なのか識別できません。
そこでiVSでは高度な画像処理技術を行ってから、AIによる検査を行います。そのため、欠陥があることだけでなく、どのような欠陥があるのかを熟練検査員と同等の精度で実現する事が可能です。
— 具体的にどのような場面でこの技術は使われていますか?
外観検査分野、映像分析分野への提供がメインです。特に、スマートフォンや液晶テレビの内部のCOF(*「Chip on Film」または「Chip on Flexible」の略称で、ポリイミドからなるフィルム状の配線回路基板の上に半導体チップ(ドライバIC)を実装する技術のこと)の量産製造ラインで実際に使用されています。
— 社名の由来はなんですか?
社名は「イデアアイ」と読みます。ギリシャ哲学のIDEA(純粋な形・真の姿・原型)と+AIをつなげて「イデアアイ」という造語を社名としました。
— もともとは何をされていたんですか?
もともとは大手企業で新規事業開発を行っていました。特許などを使ってお客様に新製品を作っていただくような企画をすることがメインでしたね。
その後、検査装置の会社に転職しました。それをきっかけに、現在のIDEAAIの技術を支えている技術者と知り合い、お客様との関係性を構築し、会社の立ち上げに至りました。
— AIに注目した理由はなんですか?
きっかけは、前職の検査装置の会社での顧客だった台湾のメーカーから、人が行っている2次検査の自動化を行いたいという話を聞いたことがきっかけです。
— 他に企画していることはありますか?
スマートファクトリーという、故障の予測・歩留まり要因分析へのiVSの活用も行っています。
現在、多くの製造ラインの機器や設備は、故障が発生してから修理対応を行っています。そのため、修理の期間は製造ラインがストップしてしまう。
そこで、 故障データと製造状況の相関をリアルタイムで分析し、将来故障する確率が高い部分を予測します。この技術により、メンテナンスの効率化ができ製造ラインを止めずに運営を続けられます。
また、画像解析技術とAIの融合により、オンラインでの監視カメラ映像分析も支援しています。iVSのAI技術で録画だけでなく、リアルタイムで事故や犯罪のデータの通知を出すことが可能です。
— 株式会社IDEAAIのミッションを教えてください
私たちのミッションは、「最先端画像処理、AI技術を用いて世の中の効率化と発展に貢献する」です。まずはiVSを主力として、台湾だけでなく、アメリカや中国など世界中の製造ラインの外観検査分野の発展に貢献できるようなサービスとなるのが目標です。
株式会社IDEAAIのiVSが気になった人はサイトを見てほしい。
編集後記
取材担当廣瀬
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