企業が新しい領域でM&Aや事業開発を進める場合、その領域の有識者の意見を収集してその将来性やリスクを検討する必要がある。
株式会社ミーミルが提供する「エキスパートオピニオン」は、異なる属性の有識者の考えを並列して提示し、重要な場面での企業の意思決定をサポートしてくれる。
どのようなサービスだろうか。詳しく見ていこう。
代表取締役 川口荘史
株式会社ミーミル代表取締役。東京大学卒、東京大学大学院修了、理学博士。UBS証券投資銀行本部に入社し、M&A及びテクノロジーチームにて、製薬業界、エネルギー業界、大手電機等の国内外のM&A、LBO案件等に従事。その後、複数のベンチャーの創業に参画し、ファイナンスや新規事業立ち上げに従事した後、2017年に株式会社ミーミルを創業、同年に株式会社ユーザベースの出資を受けてグループ会社に。株式会社ミーミルでは、有識者インタビューの「エキスパートリサーチ」、先端領域の有識者のオピニオンを閲覧できる「エキスパートオピニオン」を提供
ーーエキスパートオピニオンについて教えてください。
エキスパートオピニオンは、2020年1月に新たに発表された、さまざまな分野のエキスパートやオピニオンリーダー(有識者)の見識を紹介し、新しい領域での事業開発やM&Aを検討している企業の意思決定をサポートするサービスです。オピニオンは150文字に考えをまとめたQ&A形式で並列で提示されていて、企業は業界の外観やトレンドを端的に把握することができます。また、さらに有識者の考えを聞きたい場合は、勉強会、インタビュー、直接のディスカッションや追加の質問をすることもできます。
ーー多角的な視点を得られることが特徴なんですね。
意見を提示する有識者はどんな方々なんですか。
まさに、多角的に得られることが重要なコンセプトなのですが、ミーミルでは有識者は大きく5つに分けています。
①アカデミア/大学の教授
②業会団体/WG/審議会メンバー
③大手企業の実務者
④スタートアップの実務者
⑤コンサルタント/アナリスト/ジャーナリスト
です。
ーークライアントはどのような企業を想定していますか。
新しい領域で事業開発やM&Aを検討している企業です。大手コンサルティングファームや事業会社の経営企画部にて活用が進んでいますが、広くいろいろな会社に意思決定の際に使って欲しいと考えています。
ーーベンチマークとしているサービスはありますか。
特にありませんが、金融機関や投資家などはアナリストレポートから情報取集していますね。今までは有識者の意見というと、アナリストから知見を得るイメージでした。一方、エキスパートオピニオンは業界の関係者やオピニオンリーダーから多角的にその見方や考え方を獲得するという発想です。
ーー他の類似したサービスと比べた強みはなんですか。
これまで、「業界のオピニオンリーダー・有識者を選出する」という役割のサービスはなかったといえます。そのため、こうした「誰が有識者かよくわからない」新しい業界、先端領域におけるエキスパートをを複数の属性・視点で選出していること自体が新しく、強みになっていると考えています。
レポートや記事などの情報だけでは得られない、多角的な視点で、主観的な見方などから、ネガティブ情報やポジティブ情報を獲得できます。これはメディアのサービスではなく意思決定のための情報サービスなので、さまざまな見識を並列して提示することで、各利用者がそれぞれの目的に合うように情報を取り込んで意思決定に利用していただきたいと考えています。
ーー起業の経緯について聞いた。
私は大学院でバイオサイエンスの研究をずっとしていた後、投資銀行に勤め、M&Aを手がけました。
ある意味当たり前なのですが、大学院で身につけた専門的な知識をビジネスの場で役立てる機会はなかなかありません。もっと専門的な知識や情報のビジネスとの接点が増え、その価値が高まるタイミングといえる企業の意思決定の場面で活用できれば、という思いが生まれました。
また、企業が意思決定をする際に、自分が業界知識や専門知識を持ってないとなかなか適切に理解して意思決定するのは難しいですよね。情報収集に力を入れて勉強しても、その業界に長くいる人と同じレベルの知識をもつことは不可能です。
M&Aの場面においても、専門知識や情報が足りないという理由で結果的に意思決定が上手くいかなかったり、踏み込めなかったりということはたくさん起きていて、より精度の高い意思決定をサポートする仕組みがあって然るべきだと考えました。
ーーエキスパートオピニオンが生まれた経緯を教えてください。
当社では、以前より有識者に直接インタビューをして意見を聞くことができる「エキスパートリサーチ」というサービスを提供していました。そこに寄せられる質問内容には、先端領域と呼ばれる、新しい業界や未来についての相談が非常に多かった。一方で、そうした不確実性の高い未来への回答だからこそ、誰に聞くかが重要であり、かつ一人だけだと内容に偏りがでてしまうリスクもある。
そこで、業界のオピニオンリーダー・有識者たちの考えを効率的に取り込んで意思決定をさらに円滑化するために、 有識者のオピニオンをまとめて掲載する、という形式のサービスを作ろうという発想に至りました。 これが「エキスパートオピニオン」が誕生したきっかけです。新しい業界のオピニオンリーダーを世の中に提示するだけではなく、そうした複数の有識者の意見を多角的に得ることが大事だと考えています。これからの意思決定は、このように複数の有識者の考えを参考にして、自分なりに消化し、意思決定をしていくことが重要になると考えています。
ーー今後の展望を聞いた。
こうした新しい業界の見方や考えはどんどん変わっていくものなので1年前のコメントはもう古すぎますね。今後は、有識者のコメントの更新頻度を上げていこうと考えています。また、現状では36個の先端領域について取り上げていますが、今年中に100テーマまで増やしていく予定です。
協力してくれた有識者も、エキスパートオピニオンで有識者としてコメントを提示することで、オピニオンリーダーとしての認知がユーザーの事業会社等で広がることでさらに情報が集まっていき、自身の価値を高めていくことができます。有識者の方々は、エバンジェリストや業界の推進役として相談されることも増えていくと思います。そうして業界に対して適切な理解が広がり、より新し市場が生まれていくのが加速化するといいと思っています。
我々はエキスパートオピニオンの仕組みが幅広く知られることで、より有識者の協力を得やすくなり、有識者のコミュニティを広げていくことができます。
そうすれば我々のサービスの価値がさらに高まっていくと考えています。
ーー新サービスについては何かお考えですか。
よく有識者同士でも接点を持ちたいといわれることも増えました。有識者同士や企業のコミュニティを作ったりしたいと考えています。
この取り組みを通して、我々がミッションとして掲げている、「経験知に価値を与える」こと、そうして企業の意思決定を支援していく、これらを実現するサービスを引き続き開発していきたいと考えています。
有識者の価値を高め、企業にとって最適な意思決定をサポートする「エキスパートオピニオン」に今後も注目していきたい。
取材担当阿久沢
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