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インタビュー 2021.02.05

技術で世界中の人の生活を豊かに。障害者用機器を開発する会社ーー株式会社マリスcreative design

街中で、白杖を頼りに歩く視覚障害者の方を見かけることはあるだろうか。現在ホームドアや点字ブロックの設置が進められてはいるものの、視覚障害者が駅のホームや階段などで転落して怪我をしてしまう事故は後を絶たないという。そんな現状を少しでも変えて、視覚障害者の方が安心して安全に生活できるような商品を開発しているのが株式会社マリスcreative designだ。どんなことをしている会社なのか、創業者の和田さんにお話を伺った。

プロフィール

代表取締役 和田 康宏

技術で世界中の人の生活を豊かに。障害者用機器を開発する会社ーー株式会社マリスcreative design

ーー株式会社マリスcreative designは何をしている会社ですか?

障害者用機器の開発をしている会社です。よく誤解される方がいらっしゃるのですが、介護用機器ではなく、障害者の方が自立して行動できるようにサポートをする機能代行装置を開発しています。

ーーどのような障害者用機器を開発しているのですか?

現在取り組んでいるのは視覚障害者用の歩行補助装置『Seeker(シーカー)』です。視覚障害者の駅のホームの転落事故は例年多発しており社会問題となっています。Seekerはそのような事故を未然に防ぐための装置です。

眼鏡型のセンサーで周囲の状況を検知し、視覚障害者の方が持つ白状に取り付けたもう一方の装置が振動して事前に危険を知らせます。こちらはまだまだ試作段階なのですが、試していただいた視覚障害者の方からは好評をいただいています。

ーーどのような方の利用を想定されているのですか?

障害者手帳をお持ちで、現時点で白杖をお使いの方々です。白杖だけでは感知しきれない周囲の危険をメガネに取り付けたセンサーカメラで検知し補うといった形でお使いいただけます。 

ーーSeekerを使うことで得られる今までになかったメリットはありますか?

まずは、視覚障害者の命が防げるという点が一番大きいと思います。視覚障害者の方が駅のホームから転落する事故は、現状年間で70件から80件発生しています。その中で悲しいことに亡くなる方も毎年2人から3人いらっしゃいます。

視覚障害者の方は、頭の中で曲がる場所や信号の位置など頭の中で目まぐるしく地図を作りながら歩行しているそうです。しかし、なんらかのタイミングでその地図がずれてしまい、方向感覚を失ったときに事故が起きてしまいます。さらに、この方向感覚のズレは年齢や身体能力に関係なく生じてしまうそうです。若い方や体力のあるアスリートの方も実際に事故似合ったケースがあります。そういった視覚障害者ご本人では防ぎようのない事故を弊社の商品を使って防げるようになることで、事故の件数を減らし怪我をしたり亡くなられたりする方を減らしていきたいです。

ーー他にもポイントはありますか?

弊社の商品は視覚障害者の方々と一緒に企画・開発しているので、当事者しかわからない生の声を取り入れていることが特徴です。

危険を伝える方法も視覚障害者の方々から意見をいただいて、今の方法にしています。これは我々の発想では出来なかった物で、大変良い意見を頂いたと思っています。

弊社の商品では、健常者からみた発想に囚われずに視覚障害者の方々に寄り添って実際の声を聞いて、杖の振動で伝えるという方法を採用しています。

ーー他の会社の視覚障害者のためのサービスや競合はあるのですか?

現在知る限りでは競合サービスはありません。しかし例えば視覚障害者ご自身が手を振って赤外線レーザーで障害物を探知するといった発想の商品は以前からあります。

しかしやはり現状では白杖が最も普及していますね。弊社の商品は白杖に加えて使っていただくことによってより精度の高い周辺検知をすることができます。

障害を持つ母と暮らす日々が、街中にある『不便』に気づくきっかけを与えてくれた

ーー会社を立ち上げた経緯について教えてください。

まずきっかけとして一番大きいのは、私が3歳だった頃に母が障害者になったことです。私自身がまだ幼かったので社会的弱者である母と外に出かけるときには心細くて怖い思いをすることが多かったです。大きくなってからも街に出ると、ここは不便だなとか、障害者のことを全然考えていないなと思うところがたくさんあって、母と過ごすうちに無意識の中に障害者の視点に立って考えるという素養ができていたんだと思います。

ものづくりが好きだったので大学では工学系に進み、大学院では日本では珍しい福祉機器だけを専門にしている研究室に一期生として入り、そこから福祉機器に携わり始めました。将来的には研究よりも世の中に製品を出したいという思いがあったので、技術を学ぶために福祉機器には直接関係のない日立やSONYなどの大手メーカーに就職しました。そこで10年ほどいくつかの商品の設計・開発に携わり、ある製品の開発が終わったタイミングで会社を辞めて自分のオリジナルで製品を作ろうと決意し創業に至りました。

なぜ視覚障害者向けの製品に目をつけたのかというと、視覚障害者の方の生活が昔から特に変化していないということに気がついたからです。先ほどご説明したように、毎年の事故が起こっているのにもかかわらず視覚障害者への支援が遅れている現在の状況をなんとかしたいという思いで取り組んでいます。

技術で障害者と健常者の垣根を減らす。障害者用機器を「稼げる」産業にしたい

ーーサービスは今後どのような展開をしますか?

短期的なものでは、フェーズ1として現在は駅のホームの検知と振動通知が可能なのですが、今後は視覚障害者の歩行を補助する装置としてさらに進化させていきたいです。

進行検知と障害物対応を追加して高齢者への対応も可能にしてフェーズ2、フェーズ3と機能を充実させていきたいと考えています。

現在日本には600万人の障害者の方がいらっしゃって、生活のなかで不便を感じて困っています。長期的な目標として、今後は視覚障害だけではなく他の様々な障害を持つ方の生活を向上させる製品を作り続けていきたいと考えています。

ーー目指す世界観やビジョンはありますか?

世界観でいうと、障害者用機器で稼げる世界にしたいと思っています。私も創業したての頃に「障害者用機器を開発している」というと「社会貢献ですね」とか「稼げなくてもいいですよね」のような声をもらうことが多かったのですが、稼げなかったら産業として成り立っていきません。産業として成り立たないと、誰もその領域に参入しないのでいつまでも障害者の生活は変わらないままなのです。単純な経済構図としてお金のあるところには事業が集まって、会社が集まって、人も集まります。我々が先頭に立って、日本で障害者用機器を稼げる産業にしていきたいです。

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人も集まります。我々が先頭に立って、日本で障害者用機器を稼げる産業にしていきたいです。

 

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