最近よく耳にするサステナビリティやSDGsといったワード。挑戦してみたくても取り掛かり方がわ辛い人も多いのではないだろうか。今回取材させていただいたSlow(スロウズ)は、マップ上でサステナビリティ貢献しているおしゃれなお店やカフェを検索できる画期的なアプリだ。どんなサービスなのか、slowzメンバーの皆さんにお話を伺った。
企画・プロデュース・事業責任者 田中 滉大
マーケティング・リサーチ 花岡 里仲
ーーサービスを一言でいうと?
サステナビリティに貢献するお店やサービスを見つけることができる地図アプリです。
ーーどのような方が利用しますか?
slowzのユーザーは主に二つの層を想定しています。一つはサステナブル関心層です。いわゆるサステナビリティの分野に興味はあるもののなかなか一貫したアクションを起こせていない、でも興味はあると言った人たちです。もう一つはサステイナブル活発層と言われる方々で、既に自分でも行動を起こしていて、自分が現在取り組んでいること以上のことに挑戦したいと考えている方々です。
また、今回の対象地域が渋谷区周辺なので、渋谷区を始めとする都内にお住まいの方をターゲットに想定しています。
ーー競合のサービスはありますか?
近いサービスはいくつかあるもののサステナビリティ貢献しているお店を可視化したアプリという点でぴったりと当てはまる競合は多くはありません。そういう意味ですと個人や団体が運営する、サステイナブルやエシカルに貢献する商品やスポットを紹介するブログなどが競合になるかもしれませんね。
また、mymizuさんという、プラスチックゴミの削減のためにマイボトル用の水を供給できるスポットを紹介するサービスがあるのですが、こちらはアプローチが異なるものの、競合というよりはSDGsを目指すという同じ目的を持った類似サービスであると言えます。
ーーいまだに日本ではまだサステナビリティに対して意識を持っている人は少ないと思うのですが、slowzを使うことで得られるメリットはありますか?
サステナブルなアクションが続かない原因は、やはりサステナビリティ=我慢といった自己犠牲のもとで行うものだというイメージを持たれている方が多いという現状が背景になっていることが大きいです。今回我々のアプローチとして、好きなことや自分のモチベーションなど情緒的に良いと思えるものを消費して、それがサステナビリティに繋がるという経験を届けていきたいです。
slowzのマップに掲載するお店は、純粋にサステナビリティに貢献しているだけではなく、情緒的に「欲しい」と思えるものを提供しているかという点に重要な評価基準にしてお店を選ばさせていただいています。ただサステナビリティ貢献だけのお店を掲載してもユーザーが使い続けるモチベーションがなかったり、使っていても楽しめなかったりするデメリットが生じてしまいます。お洒落なお店だったり、コンセプトがしっかりとサービスに反映されたお店ですとサステナビリティ抜きにしても純粋に良いな、行ってみたいなという気持ちが生まれ、またサステナビリティ貢献につながる活動を楽しく続けられるということがこのアプリならではの提供価値だと考えています。
ーーサービス立ち上げの経緯について教えてください。
もともと株式会社NoMaDoSという社会課題×都市・空間・建築・生活をテーマに空間設計を中心としたプロダクトやサービスをプロデュースする会社をやっており、その新規事業としてslowzは企画されました。ハードウェアでのソリューションだけではなく、生活スタイルだったり日常の中での行動を応援できるようなアプリケーションを開発し、都市生活をされている方の情緒的なサステナブルアクションを促進し都市づくりに貢献したいと考えています。
そのきっかけとなったのが、昨年LEXUS DESIGN AWARDという国際デザインアワードで『都市の中でのサステナビリティ』をテーマにノマドスの出品した建築案をショートリストに選んでいただいたことです。この作品を制作するにあたって私自身日本のサステナビリティの現状について深掘りして調べていく中で、あまり情報がまとまっていないことや日常のアクションに根付いていないという点に課題を感じました。海外の事例を調べると例えばヨーロッパではコミュニティ単位でもサステナビリティというテーマのアクションが日常的に行われており、リサーチによって顕になった日本と海外のギャップに危機感を覚えました。このままだと今後100年、200年というスパンで長期にわたって世界中のテーマになっていくであろうサステナビリティに日本が取り残されてしまいます。我々がサステナビリティについて都市と生活における情報をまとめていって日常でのアクションを促進することによって応援できたらいいなという思いからslowzを開発しました。
ーーslowzと名付けたきっかけはなんですか?
NoMaDoSとしてサービスやブランドのプロデュースを行わせていただく中で、最近の世の中は消費のスピードだったり物事の発展など何事も加速させていく方に進んでいると感じていました。今後はその揺り戻しのような形で逆方向の力が働いていくんじゃないかと考えています。多様性が徐々に拡がることが予測される中で、一つのスピード感・加速感だけでなく、それぞれにとって無理のない状態で生きていくことが重視されていくような。
これからは経済や社会生活がそれぞれの時代や人に合った適性のスピード感で行われている状態が求められており、我々が達成したいビジョンとして掲げたいという想いから、加速の反対をいくslow、そしてサステナブル意識の高いZ世代たちが消費の主体、経済の主体になっていくという意味で最後の文字をZにしました。また、複数の選択肢を可視化していき、多くの人たちの行動を促したい、多くの人たちが無理のないスピードで生きて欲しいという意味で、slowではなく複数形を表す「slowz」に。新しい世代のための新しいプラットフォームとしてslowzと名付けました。
ーーサービスはこれからどのような展開をしていきますか?
アプリに関しては、今回出させていただくβ版はマップ上でのサステナビリティ貢献店の検索機能に留まりますが、今後の追加開発の中で、店舗に対する口コミ投稿、常設店舗だけではなくイベントやポプアップなど期間限定の場所の掲載、アプリ内で様々なテーマのコミュニティに参加できるチャレンジ機能などを実装していきたいと思っています。個々人がアクションを起こしてさらに使い続けられるようになって、ユーザー同士の横の繋がりを充実させていけたらなと考えています。slowzというアプリ自体が一つのソリューションなのでそれに加えてサステナビリティの実現に積極的な企業などとコラボして新事業を立ち上げて行ったり、運営母体である株式会社NoMaDoSの強みである「建築・空間デザイン」を活かして、サステナブルな都市デザインや空間づくりなど、ハードウェアによるソリューションを提供することでslowzの取り組みの輪を広げていきたいです。
ーー目指す世界観やビジョンはありますか?
我々は『当たり前に無理がない都市と生活をつくる』ことをビジョンとして掲げています。先程お話したslowzの背景にも繋がってくるのですが、サステナビリティとは反対のポジションになってしまった「都市」における生活をサステナビリティにスイッチすることで、日本における大きなシフトを生んでいけるのではないかと思っています。ハードウェアとソフトウェアを使いながらそれぞれが地球環境と日々の生活とビジネス領域において無理のない状態を達成するサポートをしていきたいです。
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